カーライフ

東日本大震災の「絆」を途切れさせないために。電気自動車で巡る東北被災地の今

 喉元過ぎればなんとやら……。2011年3月の東日本大震災からすでに7年以上がたって、当時、日本社会を席巻した「絆」も途切れがちになっている気がする。  人との出会い、被災地への思いなど、絆は行動を起こしてこそ繋がっていく。そんななか、一般社団法人日本EVクラブが「電気自動車 EVスーパーセブンで東北被災地を巡る旅」を計画。クラウドファンディング「CAMPFIRE」を通じて、旅への参加者と支援を募集している(募集期間は5月1日まで)。

目標金額は300万円

 EVスーパーセブンは、日本EVクラブがケータハムスーパーセブンを手作りで改造した電気自動車(EV)で、日本国内の急速充電にも対応している。2013年には「チャデモでつなぐ日本一周 EVスーパーセブン急速充電の旅」に挑戦し、56日間をかけて、急速充電だけを繰り返して日本一周することに成功した。

2013年、経済産業省で行われた日本一周の旅への出発式(写真/三浦康史)

 その後、電気系のトラブルで走行不能になっていたが、世界のEVシフトが急展開で進む中、日本国内の気運がなかなか高まっていかないことに、日本EVクラブ代表理事の舘内端氏をはじめとする日本EVクラブの有志が一念発起。2017年から本気で修理に着手して、この春、無事に復活を果たすことができたのだ。

“電気の供給”もできる電気自動車でゼロ・エミッション・キャンプ

 旅のテーマは「REBORN & Energy supply」。復活を果たしたEVスーパーセブンで被災地を巡り、被災者の鎮魂を改めて祈りつつ、被災地の復興の現状をレポートして、電気自動車や再生可能エネルギーの普及をアピール。また、電気自動車から電源を供給する「V2H」についての理解を広めることを目指している。  予定ルートは、5月17日に東京をスタート。千葉県から青森県の本州最北端である大間崎まで、じっくりと約2週間をかけて(大間へのゴールは5月31日を予定)、着々と復興が進んでいる太平洋沿岸の町を北上する。

日本一周の途中で訪れた三陸の町を再訪する

 宿泊は、原則として電気自動車のEVスーパーセブンと、伴走するEVやPHV(プラグイン・ハイブリッド車)から供給する電力を使ったゼロ・エミッション・キャンプを繰り返していくことにしている。また、被災者の鎮魂を祈り、クルマから取り出した電力で各地のランドマークなどをライトアップする予定。地震や災害などの緊急時、電気自動車が非常用の電源として活用できることを、身をもって実演する覚悟なのである。  ドライバーを務めるのは、2013年にメインドライバーとして日本を一周した筆者と、日本EVクラブの仲間である堤健一氏。舘内氏も「体力が許す限り」参加する予定になっている。  現在は電気自動車ビジネスの会社を立ち上げて独立した堤氏は、前職で三菱自動車工業の社員として電気自動車普及の仕事に携わっていて、2011年の震災直後には被災地に「i-MiEV」を届けた経験がある。その被災地で、ある女性から「せっかく電気自動車にある電気を使えたらいいのに」という声があり、本社に戻った堤さんはさっそく報告。社長の号令もあり、三菱のEVやPHEVから電気を取り出す「MiEVパワーボックス」が異例の速さで開発、発売されたのだ。  今回の旅の途中では、「MiEVパワーボックス」誕生のきっかけになった場所にも再訪予定。2013年の旅で出会った人たちにも、改めて「電気と元気を届ける旅」にしたいと思っている。
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