「ゆとりをマネジメント」でスキルを磨け
アラフォーサラリーマンの後輩不足が深刻な社会問題となりつつある。35歳過ぎてもコピーやお茶出し、上司のお世話…。雑用に追われ、仕事のスキルが身につかず、転職もままならない……。SPA!ではこれまで、そんな「後輩不足」のさまざまな事例(https://nikkan-spa.jp/381350)を紹介してきたが、この不幸をどうやって乗り切っていけばよいのか? 実際に後輩不足に悩まされるアラフォーサラリーマンと、第一生命経済研究所の永濱利廣氏、人材紹介会社キープレイヤーズ代表の高野秀敏氏に今回は長期的な視点で考えたときの処方箋を聞いた。
「後輩がゼロならどうしようもないですが、若い後輩が少しでもいるなら、根気よく育てること。ゆとりは使えない、と切り捨てるのではなくじっくり付き合い続けることで戦力に育ちますし、何より自分自身に先輩としての指導能力、マネジメント能力が身につきます」(高野氏)
根気はいるが、数少ない後輩を丁寧に育てるというのは基本中の基本かもしれない。さらに、5年後、10年後にリストラ対象になることを考えて、ライフプランそのものを見直すこともひとつの手だと高野氏は提案する。
「アラフォーサラリーマンにとって、後輩不足が招く最大の悲劇は、スキル不足によるリストラ。雑用ばかりであげく薄給!となると、いよいよ打つ手はありませんが、ある程度の収入があるなら、今後リストラされても食いつなげるようにひたすら貯金しておくのが大事。うまくいくかわからない転職活動に注力するよりもよっぽど現実的です。低コストで生活していけるように固定費を下げ、ゆくゆくは地方や海外への移住も視野に入れておくべきでしょう。月々10万円程度で生活できるような基盤を整えれば、貯金とパートで十分食べていけますからね」
まさかの都落ち……と落胆するなかれ、意外と快適なセカンドライフが待っているかも? 後輩不足に悩むサラリーマンたちは完全なる被害者。とはいえ、最悪のシナリオを避けて生き延びるためには自分で処方箋を実践していくしかないのだ!
【高野秀敏氏】
転職斡旋を専門とするキープレイヤーズ代表。企業コンサルタント。大手人材派遣会社インテリジェンスを経て独立し、現在に至る
【永濱利廣氏】
第一生命経済研究所主席エコノミスト。近著に『スクリューフレーション・ショック』(朝日新聞出版)、『男性不況』(東洋経済新報社)
取材・文/佐藤留美 中村裕一 牧野早菜生(本誌) イラスト/サダ 協力/キャリコネ
― サラリーマンを蝕む「後輩が足らない!」症候群【11】 ―

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『スクリューフレーション・ショック 日本から中流家庭が消える日』 世界を席巻しつつある、新たな経済現象の脅威とは何なのか? ![]() |
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