ファストファッションの隆盛でアパレル業界は滅びる!?
00年代、渋谷109から生まれたマルキューブランドは日本のアパレル界を席巻した。メンズのマルキューブランドとして唯一10周年を迎え、海外展開にも積極的な『VANQUISH』を率いる石川涼氏は、アパレル企業の代表ながら、「ファッションは終わりますよ」と断言。ネットにより顧客の価値観が激変し、製造と流通のグローバル化の賜物であるファストファッションの隆盛が続くと語る。
「’08年にH&Mが日本上陸するまでは、マルキューブランドが“安くてかわいい、かっこいい”の代名詞だった。
それが今、若い子にリサーチすると『109は高い』と言う。ウチも例外ではありません。圧倒的な物量で低価格を維持できるグローバルブランドは週間のMDで売り場に並べるものを変化させていますから、太刀打ちできるはずがないんです」
価格だけでなく、広告のあり方が変化したことも大きいとも。
「ネット社会では、グローバルブランドがこれまでのように宣伝広告費を各国に分配する必要がなくなった。低予算で世界基準のブランドイメージを大量に拡散できるんです。メッシやミランダ・カーに手頃な価格のブランドのモデルを務められたら、完敗です。多くのアパレルブランドのコアターゲットである若年層にとって、ファッションはすでにコミュニケーションツールにならず重要ではない。ユニクロで全身揃えてもおしゃれに見え、安かろう悪かろうではなく、品質もデザインもそれなりのレベルとくれば、僕を含めた中規模のアパレル企業の需要が減り駆逐されるのは当然でしょう」
また、ITによる在庫の一元管理は直接バックヤードの雇用の減少に繋がるが、それが原因で業界全体が縮小するとも語る。
「5年後にはECのプラットフォームもさらに発展するでしょうし、どんなブランドも店舗は今ほど必要なくなります。ウチは現状でECの売り上げ比率が2割前後と高いので、海外展開を含め可能性があると思っていますが、基本的に業界の先行きは暗いでしょうね」
また現場からはこんな声も。
「青春時代に裏原ブームがあり地方在住だった僕は、おしゃれリーダーとして雑誌に載るのが夢でした。雑誌には何度も載りましたが、今はこの仕事で二人の子どもを育てられるのか不安。会社は洋服だけでなく、インテリアや飲食にも手を広げていますが、すでにジリ貧です」(大手セレクトショップ店長30歳・男性)
週刊SPA!5/7発売号では「5年後に消滅する職業大予測」と題した特集を組んでいる。あなたの業界は大丈夫だろうか……?
【石川涼氏】
株式会社せーの代表取締役。2004年VANQUISHを設立。ギャル男ブランドの象徴として絶大な支持を得る。現在はレディースを含む8ブランドを展開する。
<取材・文/週刊SPA!編集部>
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