六本木、渋谷、池袋…ストリートナンパの名物スポットが絶滅した理由
’80年代~’00年代にかけて、ナンパ師が日夜あの手この手で女のコを引っかけるナンパの“聖地”がいくつもあった。そうした場所はどうなったのか? 現状を探ってみた
◆ナンパの肩慣らしには新宿、上級者は六本木へと流れていく【ストリート】
’90年代、ナンパの聖地として君臨していたのが渋谷。高校生から20代前半くらいの若い世代のナンパ師が日夜、街に繰り出していた。
「マルキュー前とか公園通りあたりによく行きましたね。渋谷のナンパって歩く距離が長くて、疲れるんですよ」と語るのは、かつて都内各所でナンパをしていたという、元ナンパ師の清志さん(仮名・41歳)。
「当時の渋谷はとにかくカッコよくて、流行の最先端って感じの街でしたね。ナンパ慣れしてないヤツがいたら一発でわかるくらい。ある程度経験を積んだヤツが来るイメージでした」
ところが、’95年頃に最盛期を迎えた後は徐々に衰退していったという。
「若者のアツい街だったはずなのに、今じゃ渋谷パルコにはアニオタ向けの店とか入っていますからね。変わっちゃいましたね」
若者の街が渋谷なら、六本木は小金を持った大人の街だったと振り返る清志さん。
「黒スーツのカネ持ったお兄さんたちが、ベンツ乗りつけて女のコを引っ掛けるんですよ。若造じゃちょっと太刀打ちできなかったですね」
’90年代頃まで圧倒的な高級感を持った六本木は、それなりにナンパ回数をこなした者が訪れたと言い、ストリートに生息するナンパ師にとっては、最後の関門であったのだ。
「今では、EXILE風の男とキャバ嬢と外国人だらけになっちゃって、かつてのキラキラした憧れ感みたいなのはないですよね」
渋谷、六本木よりも初心者向けだったのが新宿だ。
「’70年代から’80年代くらいは新宿もディスコが流行っていたみたいだけど、僕らが現役だった’90年代はちょっとダサい街でした。一番初心者向けでしたね」
ナンパデビューした人々はまず新宿に向かい、肩慣らしをしていったという。そんな新宿で、ナンパスポットとして知られていたのは、歌舞伎町のコマ劇場周辺。
しかし、’04年の東京都の歌舞伎町浄化作戦や、’08年のコマ劇場閉鎖によって雑多な街としての魅力も激減。今やコマ劇前は歌舞伎町の中でもゴーストタウンと見紛うばかりの状態になっている。
一方、’90年代に「ナンパコロシアム」とまで呼ばれた場所だったのが池袋だ。
「今じゃオタクと腐女子の街って感じですけど、’90年代の池袋はイケてる大学生のたまり場でした。ナンパコロシアムと呼ばれた西口公園に行けばナンパ仲間が必ずいましたね」(30代・会社員)
そんな西口公園も治安の悪化に伴いナンパスポットとしては衰退。治安回復しつつある今はバザーなどが行われる場所になった。
もはや東京に名物的なナンパストリートはないのかもしれない。
●渋谷<’80~’96年>
若者の流行の発信地だった渋谷。ナンパの聖地として賑わった
●六本木<’80~’90年>
ラグジュアリーな雰囲気で、主にお金を持っている層が出没する街
●新宿<’80~’90年>
ナンパ初心者が集う街。ステップアップの材料として使われていた
●池袋<’80~’90年>
池袋駅を出てすぐの西口公園には、若者がたむろしていた
― ’80年代~’00年代、あの[ナンパスポット]の今【2】 ―
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