地元コミュニティの「センパイ文化」が、未成年の売春・薬物使用に拍車をかける
2015年2月に神奈川県川崎市で起きた中1男子殺害事件の背景にあったのは、学区や学年が異なれど、ゆるく繋がっていた地元コミュニティの存在だった。
逮捕された主犯格の18歳(当時)の少年は、被害にあった中1生徒よりも5歳年上。年齢が離れているにもかかわらず、彼らが普段行動をともにしていたことが、捜査関係者の調べで明らかになっている。
実は、こうした「センパイ文化」が地域での犯罪が横行している原因ともなっている。
かつての地元仲間と言えば、同じ中学の同学年、あるいは上下2学年以内の人間関係を指すことが多く、それより年の離れた人との交流は稀だった。だが、近年では地元のLINEグループによっていくらでも学区外の地元のセンパイと繋がれる。
東京東部のあるエリアでは、地元で繋がった仲間たち30数人で作られたLINEグループがある。下は13歳の中学1年生、上は36歳の「センパイ」だ。
このLINEグループに入っている30代男性A氏はそこで繰り広げられている日常を次のように語る。
「センパイ経由で下に薬物が流れたり、こっちのリクエストに応えるかたちで中坊に同級生の女子を紹介させることもある。下で入ってきたヤツらには女のコを献上させる文化があるんですよ」(A氏)
学区とは切り離された地元コミュニティはタテの文化が強い。そのため、30代が10代の中学生に少女の紹介を指示するケースが少なくないというのだ。
「女のコを紹介させるときは絶対にLINEに残さない。会って直接紹介させてこっちは、一言もしゃべらないで行為だけしてバイバイ。LINEグループを見られても簡単に足がつかないと思う」(A氏)
未成年売春と聞けば、出会い系サイトの書き込みや家出少女を狙ったものが多いという印象を受けるだろう。だが、近年では閉鎖的な地元仲間だけでこうした悪事が繰り広げられているのだ。
ほかには、大規模な野球賭博、地元の飲食店に未成年を従事させるルートにもなっているという。
「野球賭博は地元出身で引退したアスリートが元締めになって100人以上参加している。中には自分でキャバクラとかガールズバーを開くヤツもいて、女のコの採用もLINEグループにいる仲間たちに募集かけるって流れです。完全口コミなので他所にはバレないですよ」(A氏)
今後、サイバー上で繰り広げられる地元仲間のやりとりを、当局はどのように追い詰めていけばよいのだろうか。
<取材・文/日刊SPA!取材班 ※写真はイメージです>
未成年売春は地元コミュニティで行われる
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