企業による大量の水使用が「世界の水危機」の要因に
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雨が多く、水が豊富にある日本では、世界の水危機に対し危機感が乏しい。しかし、水ジャーナリストの橋本淳司氏は「企業活動は水資源に大きく依存しています。特に今後は、水のことをしっかり考えていかないと活動できなくなるのです」と警告する。
「企業はその生産過程で、加熱や冷却、洗浄処理などに大量の水を使っています。例えばTシャツ1枚作るのにも、原材料となる綿花を育てるなどで、2900リットルの水が必要だと言われています。中央アジアのアラル湖は世界第4位の大きさを誇る湖でしたが、日本を含む先進国のアパレル産業向けの綿花生産のために、今やほぼ消滅してしまっています。アラル海に流れ込むアムダリア川とシリダリア川の過剰な灌漑がその原因です」
今後、地球温暖化の進行や世界の人口増などから水リスクはさらに増大してくという。
「’25年には、インドやタイ、中国などで水不足が深刻になるとみられており、こうした土地で日本企業が生産活動をできなくなる恐れがあるのです。既に投資家達は、企業が抱える水リスクに着目し、投資するか否かの判断材料にしています。また、イギリスのNGO『CDP』(カーボン・ディスクロージャープロジェクト)は、機関投資家にかわって大企業に質問状を送り、その企業がどれだけ水を使っているのか、調査を行っています。今や、何の対策もなく大量に水を使う企業は、無責任でリスクのある企業としてみられるようになっているのです」(橋本氏)。
海外の大企業には、水の使用料を減らそうと努力する企業も増えているという。
「例えばジーンズメーカーのリーバイスは、節水型の綿花栽培や水を使わない染色方法を開発するなどしているのです」(橋本氏)。
世界の水危機は、企業にとっても重大な課題なのだ。
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取材・文/志葉玲 図/futomoji
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