世界一の高級車も“上昇志向なし男”の前では無意味!?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
これまで見下ろされることはあっても、見下ろしたことなんてない人生に、千載一遇のチャンスが到来しました。これ1台で、東京都内に庭付き一戸建てが買えてしまうロールス・ロイス・ファントムに乗れる機会に恵まれたのです。世界一の超高級車からの景色ってどうなんでしょうか?
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆一般人代表としてロールス・ロイス・ファントムから見下ろしてみた!!【後編】
⇒【前編】はコチラ
MJ:ベンツが作った最高級車・マイバッハも、視点の低さが問題だった。マイバッハがファントムと並ぶと、上から見下ろされちまう。それが原因で販売的に大敗して絶版に追い込まれたんだ。今度復活するけど。
K:なるほど、なるほど。
MJ:走ってても、小山が動いているみたいだったでしょ?
K:以前、三菱ふそうのバスを運転させてもらった時と同じ感覚でした。
MJ:バスと同じい!?
K:加速も悪くて、撮影用のカメラカーについていくのが大変でした。
MJ:加速はぜんぜん悪くないよ! だってエンジンは6700ccのV12。460馬力もあるんだから。
K:でも、踏み込んでもあんまり加速しなかったですよ。
MJ:それは踏み込みが足りないの。あのクルマはVIPを快適に移動させるためのものだから、むやみに加速しないように作られている。だから、本気でアクセルを床までグッと踏みつけないと、ギアがキックダウンしないんだよ。
K:あ~そうなんですか。とにかく、僕にも“秒速で稼ぐ男”与沢翼の気分がわかりました。先日亡くなった祖母を乗せてあげたかった……。超高級な霊柩車ですね、ファントムは。
MJ:豚に真珠だったか……。
【結論】
いいものは、いいものを知る者でないと真の価値がわからないのは美術品もクルマも同じ。平凡かつ上昇志向皆無の人間には、ロールス・ロイスは無意味だということがわかりました。一生、バスにでも乗ってろ!1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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