相次ぐ閉館でオワコン化するボウリング…東京五輪競技入りはありえるのか?
老舗ボウリング場が相次いで姿を消している。都内では「新宿ミラノボウル」が昨年末で閉館し、テレビ番組でおなじみ「田町ハイレーン」も3月29日をもち閉館。その余波は、娯楽の聖地「東京」だけにとどまらない。大阪難波で親しまれてきた「千日前ファミリーボウル」が5月10日をもってその歴史に幕を下ろし、千葉県内最大級「JFE千葉リバーレーン」は9月末日で営業を終了するという。
相次ぐ閉館の理由には、娯楽の多様化や複合アミューズメント施設「ラウンドワン」の台頭による来場者の減少、そして施設の老朽化で耐震性の確保が難しくなったことなどが挙げられる。日本ボウリング場協会によると、全盛期の1972年に全国で3,697店を数えたボウリング場は、現在およそ850店となった。しかし、ボウリング業界には暗い話ばかりではなく、一筋の光も見えている。
◆定年を迎えるシニア層、東京五輪への期待
まず、1970年代のブームを過ごした「ボウリング世代」が続々と定年を迎えているということだ。シニア層にとってボウリングは馴染みのあるスポーツであり、家族や友人と気軽に楽しめることから、退職後の趣味として選ばれることが期待される。実際、日中の利用者の多くをシニア層が占めるボウリング場もあり、お金と時間に余裕のあるシニア層にどれだけ魅力を伝えていけるのかが鍵となるだろう。
そして、2020年の東京五輪の正式種目として採用される可能性が出てきたことにも期待が寄せられている。昨年12月の国際オリンピック委員会(IOC)臨時総会では、開催都市が追加競技を提案できることになったのだ。候補の対象となった全日本ボウリング協会は、全国のボウリング場やプロボウラーに呼びかけ、3月末までに53万人もの署名を集めた。ボウリングはアジア大会の正式競技で、88年ソウル五輪の公開競技として実施された実績を持つ。そして興味深いのは、同協会の登録選手以外でも代表選考に参加できると謳っていること。今から誰もがオリンピック出場のチャンスを狙えるのだ。
6月22日に発表される1次選考の基準について、武藤敏郎事務総長は「国際的な人気があるか、選手人口は多いか、国際競技連盟(IF)の体制や歴史がどの程度なのか、オリンピックムーブメントは盛り上がるか、チケットの収入や財政負担がどの程度か、若者へのアピールができるか。それらを総合的に判断する」と述べている。今回の選考では、日本における競技人口も重視されるという。日本で親しまれてきたボウリングが採用されれば、今後盛り上がることは間違いない。
世代を超えて楽しめるスポーツというのは意外と少ない。追加種目には野球・ソフトボール、空手、スカッシュなど26の国際競技連盟(IF)が名乗りを上げている。奇しくも1次選考の6月22日は「ボウリングの日」である。大は小を兼ねる世の趨勢のなかで、訪れた光を掴むことはできるのだろうか。
【2020年東京五輪 追加種目の選考過程】
6月8日:応募書類の提出期限
6月22日:1次選考を通過した国際競技連盟(IF)を発表
7月22日:質問事項の提出期限
8月上旬:ヒアリング(聞き取り調査)
9月30日:国際オリンピック委員会(IOC)への追加種目の提案提出期限
2016年8月:IOC総会で正式決定
<取材・文/北村篤裕>
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