更新日:2016年04月08日 10:10
仕事

「家庭に居場所がない…」働く男たちの嘆き

 こうした問題の背景について、男の生きづらさを研究する男性学の専門家・田中俊之氏は、「雇用状況は悪化しているのに、“男は一家の大黒柱であるべき”というプレッシャーはそのまま。さらに、子供や親をケアする役割までが求められるようになってきた」と、男性の果たすべき役割が増えすぎている現代社会の事情を語る。  また、『母という病』『父という病』の著者で精神科医の岡田尊司氏は、「仕事で父親が不在の家庭に育ち、母親とべったり癒着して親離れできないまま成長した男性は多い。正しい父性を知らずに“あんな父親になりたくない”と否定的な父親像を反面教師にして、“よき夫・父親”の重荷を背負いがちになる」と指摘する。  実家トラブルも、この親子関係の問題が大きく影響しているという。数多くの毒親や共依存家庭のカウンセリングを実施してきた信田さよ子氏によると、「親からの支配を断ち切れないまま、自立できずに過干渉を受け入れてしまっている30~40代は多い」のだとか。  働く男たちは今、家族に疲労困憊している。 【田中俊之氏】
武蔵大学社会学部助教。き方の見直しをすすめる。最新刊『〈40男〉はなぜ嫌われるのか』(イースト新書)が発売中 【岡田尊司氏】
精神科医・作家。パーソナリティ障害、発達障害の最前線に立つ臨床医として活躍。著書に『母という病』『父という病』(ともにポプラ社)などがある 【信田さよ子氏】
臨床心理士。開業カウンセラーの第一人者として共依存やDV、児童虐待などに取り組む。『アディクション臨床入門』(金剛出版)など著書多数
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