「あと一杯だけ奢ってくれ! 飲みたいんだ!!」――46歳のバツイチおじさんはインドで完全になめられた〈第30話〉
突然、嫁さんにフラれて独身になったTVディレクター。御年、46歳。英語もロクにしゃべれない彼が選んだ道は、新たな花嫁を探す世界一周旅行だった――。当サイトにて、2015年から約4年にわたり人気連載として大いに注目を集めた「英語力ゼロのバツいちおじさんが挑む世界一周花嫁探しの旅」がこの度、単行本化される。本連載では描き切れなかった結末まで、余すことなく一冊にまとめたという。その偉業を祝し、連載第1回目からの全文再配信を決定。第1回からプレイバックする!
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46歳のバツイチおじさんによるノンフィクション巨編「世界一周花嫁探しの旅」、今回の滞在地は7か国目インドです。前回、盗まれたパソコンやカメラをインドで買い直し、心機一転、旅を再開することにしたバツイチおじさん。ガンジャマンなる陽気なおじさんとの出会いで、インド旅の目的を「漢(おとこ)磨きの旅」に設定したようですが……。今回は、とある一日のたった数時間の物語ですが、期待を裏切らないズンドコ展開がさく裂します!
【第30話 インドのジャイアン】
スリランカで美人中国人リーにフラれ、その直後に30万円相当のパソコンやカメラを盗まれた。インドに入り、パソコンやカメラはなんとか買い直すも、気分はどん底。
そんな気分でやってきた南インド・マイソールで、超~怪しいおっさん、通称“ガンジャマン”と出会う。ちなみにガンジャとはマリファナのことである。俺はこのおっさんからの怪しい誘い、“ガンジャパーティー”なるものを断り、彼と別れた。しかしこのおっさん、なぜか”漢”として魅力的で、彼との出会いをきっかけに、自分自身の“漢らしさ”について深く考えるようになった。
魅力的な“漢”になれば向こうから花嫁候補が近寄って来るはず。
そう痛感し、インド旅のテーマを『“漢”磨き』に決めた。
インドに行くと人生観が変わるという話をよく聞くが、本当に俺を一人前の“漢”に変えてくれるのか?
“ガンジャマン”と別れた後、俺は一人マイソール宮殿に向かった。通称パレスと呼ばれるその宮殿は、イスラム教とヒンドゥー教がうまく融合したインド・サラセン建築様式で建てられた貴重な歴史的建造物である。宮殿内は写真撮影が禁止。その内装は豪華で、当時のインドの金持ちたちの生活が伝わってくるようだった。
一通りの観光が終わると、建物の外に出て、水を飲んだ。気温は35度を超えていて、たまに水分補給をしないと脱水症状になってしまう。インドの太陽は殺傷力の高い暑さで、石畳はホットプレートのように熱い。
俺は影のある場所を見つけ、腰を下ろした。汗を引くのを待ちながらパレスをボーと見ていると、二人組のインド人が話しかけてきた。片言の英語だ。
インド人①「写真撮ってもらってもいいですか? この王宮をバックに」
俺「あ、いいですよ」
二人は男同士で異様に盛り上がり、仲よさそうに肩を組んでポーズを決めた。
ゲイカップルか男兄弟のようなノリである。撮影が終わると無邪気に写真を見て盛り上がった。
インド人②「#$*$%*&」
二人のうち一人は英語が全く話せない。
ずっとローカルな言葉で俺に話しかけてきたが、全く理解できない。
「英語しか喋れないよ!」と言っても、全く気にせずヒンディー語で喋り続ける。
すると、もう一人の男が片言の英語で話しかけてきた。
インド人①「どこから来たの?」
俺「日本だよ。東京」
インド人①「おー!日本人か珍しい」
インド人①「#$%@&*(おい、日本人らしいぞ)」
インド人②「*&%$#@(おー珍しい!写真撮りたい)」
二人はさらなる盛り上がりを見せた。予想だがおそらくこんな内容の話をしていたと思う。
インド人①「よかったら記念に3人で写真を撮らない?」
俺「あ、いいね。撮ろう」
それから3人で記念写真を撮った。
英語が喋れないインド人②は興奮して誰かに電話をしている。
インド人①の説明によると、電話の相手はインド人②の弟であり、俺と写真を撮ったことを自慢しているそうだ。
日本人がよっぽど珍しいらしい。
そういえば南インドに来て、日本人どころか韓国人、中国人も一人も見かけていない。
インド人①「一人旅?」
俺「うん。そうだよ」
インド人①「この後どうするの?」
俺「うーん。特に決めてないけど…」
インド人①「じゃあさ、一緒に晩飯でも食べようぜ」
昨日までつるんでいたガンジャマンよりはまともな感じがする。
あんまり英語が通じないのは面倒くさいけど、ま、いいか。
俺「……うーん。そうだね。行こうか」
ということで、ローカルな二人のインド人と晩御飯を共にすることになった。
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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