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バー開業はいくらかかる? コロナ禍で新店舗をオープンしてみた

 緊急事態宣言中の3月8日に、筆者が経営に携わる原価BAR三田本店をグランドオープンしました。  当初は3月7日に緊急事態宣言が終わると言われていたので、この日にしました。3月25日現在は、時短要請に従って営業中です。こういったご時世なので、飲食店を開業しようと思う人は少ないと思いますが、せっかくなので今回はバーをオープンするときの手続きを紹介しようと思います。

物件探しの注意点。家主が見ているのは……

 まず、何はともあれ物件探しです。一般的に立地など、好条件であれば家賃は高くなります。バーという業態は決して利益率が高いわけではないので、できれば固定費は抑えたいところ。とはいえ、安い物件はそれなりの理由があるわけで、下手なところに出すと、お客さまが来ずに潰れてしまうことになります。  筆者の場合、今回は五反田店と銀座店をクローズし、統合移転することにしました。五反田はコロナ禍でも好調だったので五反田にオープンしたかったのですが、大型店舗の空き物件が出ていませんでした。内見できたところも完全に割高で、強気の家賃でした。理想の物件はなかなかないものです。明らかに納得いかないところがあれば、無理して契約せずにスルーするのがオススメです。特に飲食店の経営は、走り出してから問題が次々と噴出してきます。最初からわかっているリスクは避けておくにこしたことはありません。
原価BAR五反田店

2011年3月8日にオープンした手作り感満載の原価BAR五反田店はクローズしました

 そこでエリアを広げたところ、三田に数件の物件があり内見できました。とてもいい感じの居抜きです。道路に面した路面店で2階建ての物件でした。いろいろと調べたところ、三田・田町の飲食店はコロナ禍の影響を大きく受けている地域の1つでした。そのため、通常では考えられない物件に出会うことができたのです。  これまで原価BARは、家賃の安い2階もしくは地下1階に出店していました。しかし、コロナ禍では店内の様子がわからないと入りにくくなると考え、路面店を希望しました。当然、家賃は高くなりますが仕方がありません。  さて、「この物件で行こう!」と決めたなら、まずは申込書を書きます。貸主がこちらを判断するためです。ほかにも希望者がいれば選定になりますし、ライバルがいなくても却下されることもあります。  申し込みの段階で家賃の交渉をすることが多く、数万円のダウンを実現しているケースはよく聞きます。ただ、家主の側からすると、すでに数回値下げして掲載しているのに、それから下げてくるほどケチなら、「短期間で撤退とかトラブルを起こすのでは?」と信用度が下がってしまうこともあります。  逆に経営計画を説明して、この家賃だと万全で長く借りられそうとか、保証金を8か月分にしてほしいといった説得を試みるのはありだと思います。工事が発生するなら、フリーレントを聞いてみるのもいいと思います。家主側は細かいお金というよりは、こちらの信用度を見てくるので、ガメツイ行為は注意しましょう。  あと、退店する際の解約時条件をよく確認しましょう。今は関係なくとも、将来大きくのしかかってくる条件です。保証金の償却や違約金など、大家さんによって条件は大きく異なるので要注意です。  なお、数年前に店を出したときは、大きな企業のライバルがいたのですが、大家さんと直接面談して夢を語ったことで、条件面で分の悪い我々にお店を貸していただけたこともありました。状況にもよりますが、お金だけで決まらないこともあります。

物件が決まったら忘れずにする各種届け出は?

 物件を取得できたら、内装工事と仕入れです。バーを開業する資金のほとんどは、物件の取得と内装、仕入れで吹き飛びます。今回は、冷蔵庫などの機材の多くを流用できたので、比較的安く抑えられました。  内装を設計する際、「食品営業許可申請」に必要な設備も用意する必要があります。例えば、飲食スペースを調理スペースを分けるとか、従業員とお客さまそれぞれの手洗い場を用意するといった要件があります。  加えてバーをオープンする際は、保健所と消防署と警察署で手続きが必要です。保健所では食品営業許可申請を行い、営業許可をもらいます。ここでスムーズに手続きを進めたいなら、図面をきっちり描くことが重要です。店の図面は大家さんや不動産会社からもらえます。
保健所

保健所の検査を受けて、営業許可書をもらいます

 手洗い器などの位置を書き込むのはもちろん、現場の写真もやりすぎなくらい印刷して持っていくと、すんなり手続きが進みます。その後、担当者が店に来て施設を検査し、営業許可証が交付されます。その際、食品衛生責任者を指定する必要があります。誰も持っていない場合は、保健所で講習を受けて取得しましょう。  消防署には防火管理者選任届を届け出ます。お客さまが30人以上収容できるお店の場合には必要な手続きです。防火管理者の資格は、消防署で防火管理者講習を受ければ取得できます。こちらも、図面をしっかり書けば、問題なく手続きできます。先方が気にするのは消火器と使っている調理器具、そして避難経路です。あらかじめきちんと確認しておきましょう。
食品衛生責任者と防火管理者

食品衛生責任者と防火管理者が必要になります

 深夜営業をする場合は警察署に届け出をします。原価BAR三田本店は時短営業に応じますし、しばらくは23時までの営業を考えていますが、将来は朝5時まで営業する予定なので届けを出しておきました。午前0時から午前6時の間に酒類を提供する際に「深夜酒類提供飲食店営業開始届」(通称フカザケ)が必要になるのです。こちらも、図面が必要で、これでもかと正確に細かく書いておくと話が早く進みます。
深夜酒類提供飲食店営業開始届

深夜営業をするなら「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を届け出ます。

 コロナ禍であれば、コロナ対策も必須です。消毒液や体温計、セパレーター、パーティション、マスク、空気清浄機などが求められています。一定以上の換気性能も換気扇やエアコンもチェックする必要があります。原価BARでも換気扇のパワーを強化し、エアコンは8台全部分解洗浄しました。ただし、これらの経費の一部は、助成金や補助金を受けられることもあるので、各自治体の情報を確認してみましょう。
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バーの開業にはいくら必要か
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