アルコール依存の地獄から、禁酒で復活した有名人列伝
アルコール依存の問題が大きくクローズアップされている。一般的に、アルコール依存症はストレスの多い職業でよく見られるが、中でもミュージシャンの酒絡みのエピソードは、昔から枚挙にいとまがない。「飲み過ぎてホテルの部屋を破壊した」「バンド同士で殴り合いになった」などなど……。だが、そんな音楽業界もここに来て曲がり角にきているという。
「元ZIGGYの森重樹一(54歳)さんは、本人も認めているように一時期は重度のアルコール中毒だった。それが原因で鬱も併発し、専門の施設に入院したそうです。しかし9年前にピタリと酒をやめてからは、健康オタクに一変。今ではジムでストイックに身体を鍛え、サイクリングに興じる姿をブログで報告しています」(音楽誌編集者)
退廃的なライフスタイルを貫き通し、エアロスミスやハノイ・ロックス直系の“バッドボーイズ・ロックンロール”を体現していたのも今は昔。最近の森重はバラエティ番組でも気さくで家庭的な素顔を見せ、新たなファン層を獲得している。
「今年1月にがんで亡くなった伝説的ラッパーのECD(享年57)さんもアルコール依存症で苦しんだ1人。半自伝的小説『失点・イン・ザ・パーク』(太田出版)では、アル中での入院生活から、レコード会社にクビを切られてハローワークに通う様子が描かれています。淡々とした筆致が、かえって日常に潜むアルコールの恐ろしさを物語っていますね」(同上)
前述した森重の他にも、断酒に踏み切るミュージシャンが続出している。Theピーズのはる(52歳)がアルコール断ちに踏み切った際は、多くのファンが「まさか!?」と耳を疑った。『日本酒を飲んでいる』という曲もあるほど、はるの内省的な歌詞世界と酒は切っても切り離せない関係だったからだ。一方、俳優としても活躍する東京スカパラダイスオーケストラ谷中敦(51歳)も、すさまじい酒飲みとしてミュージシャン仲間では有名な存在だった。酔うと大トラになるのである。だが、そんな彼も今は一滴も飲んでいないようだ。
TOKYO No.1 SOUL SETや猪苗代湖ズで活躍する渡辺俊美(51歳)は、子供のために作り続けた弁当が書籍化されるなど子煩悩で知られるが、その実、飲む量は相当なものだった。急性膵炎での入院を機に酒を控えるようになってからは健康そのものだという。「依存症」とはいうものの、いくつになっても本気になれば人は変われるのかもしれない。
森重樹一は断酒で健康オタクに
亡くなったECDの恐ろしい依存症体験
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出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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