漫画喫茶と新幹線内で立て続けに起きた無差別殺傷事件により、通り魔犯罪の密室化が危惧されている。今回は被害者としての防衛策ではなく、自分が加害者になってしまう危険性を考察した。
自らも危険人物にならないためにできる方策とは?
通り魔とまでいかずとも、街中のトラブルメーカーが暴走した結果、殺人や傷害事件に繫がる例も多い。見ず知らずの他人に攻撃性を向ける人を「脳内の神経伝達物質の量や働き方に問題があるのではないかといわれています」と分析するのは精神科医の岡本浩之氏。今回4つの類型ごとに傾向と対策を示してもらったが、「自身が当てはまる場合の対処法」についても教えてもらった。
《街に出現しがちな代表4パターン》
①被害妄想型
・「お前のせいで迷惑だ」
・「お前に○○された」
認知の歪みがあり、何らかのきっかけで「バカにされた」、「迷惑をかけられた」と一方的に思い込み、何の脈絡もなく因縁をつけてくるタイプ。その場しのぎの謝罪をしても火に油を注ぐだけの場合も多い。絡まれた場合は、可能ならその場にいる第三者に協力を仰ぐとよし
②権利主張型
・「俺を何だと思ってるんだ」
・赤の他人に「○○しろ」など命令形
「自分は特別な人間」だという特権意識が強く、自分の主張は通って当たり前、聞けないヤツは融通が利かない、人の気持ちのわからないダメなヤツだと考える。被害者意識が強い一方、他者の人格否定には抵抗がない。絡まれた場合は特別扱いしたり、下手に出るとある程度沈静化する
③世直し型
・「○○していいと思ってんのか」
・「お前が悪いんだろうが」
自分が絶対的に正しいという強い信念があるため、攻撃は強気。主張には正論もあるが「常識」と称するものが現実的でなかったり、偏りがある。絡まれた場合は理解するふりをし、ひたすら「おっしゃる通りです」「申し訳ありません」などと反省し、相手に善行を積んだ気分にさせるといい
④好戦型
・「何見てんだ」
・「おう、おっ?、あっ?」
常に攻撃材料を探しており、少しでも攻撃できそうなものがあると見逃さない。少しのことを大げさに騒ぎ立てる。そこにあるのは相手を攻撃して倒したいという思いだけであり、場合によっては暴力も厭わない。絡まれた場合に話し合いは通用しない可能性が高く、逃走か通報が最善策
=================
「被害妄想型はその日にイラついた場面を思い出し、それを『考えすぎ、勘違いでは?』と具体的に考えてみる。権利主張型は『世の中使えないヤツだらけ』と思う前に相手がなぜ融通を利かせられないか、世直し型は、自分の常識を万人が受け入れるべきなのか考えてみる。好戦型は頭より体が先に動くため、思考の改善よりも攻撃性を他で発散する必要がある。きつさを感じるくらいの有酸素運動を一日30分以上、週4~5回行うのが良いでしょう」
外でトラブルを起こしやすい人は「周りが自分をわかってくれない」という思いが強いという。
「過去に一度でも思い当たる節のある人は、意識してみてください」
【岡本浩之氏】
精神科医。北本心ノ診療所院長、東京大学医学部卒。学生時代にうつ病になるが克服し医師に。精神疾患の予防に効果的な運動療法を中心に、毎日約60人の診療を行う
取材・文/西谷格 ツマミ具依 アンヨナ
― [危険人物]対策マニュアル ―