更新日:2019年12月30日 11:24
カーライフ

高齢者の交通安全必須の時代にクルマに求められるものは?

 選考委員60人に各25点の持ち点が与えられ、一次選考でノミネートされた10台の中から「今年の1台」と思うものに10点を投票。残り15点を4台に配点する日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)。  40回目の今年はトヨタのRAV4がCOTYに。10回目のセルシオ、20回目のヴィッツ/プラッツ/ファンカーゴ、30回目のプリウスと、トヨタはキリ番に強いみたいです。 オートクラブ西村直人=文 Text by Nishimura Naoto

3年ぶりに国産車が“今年の1台”に! この先のクルマに求められるものは?

 40年目の節目を迎えた今年のCOTYは、トヨタのSUV「RAV4」に決定した。今年で選考委員になって10年目の筆者は、トヨタ「RAV4」に10点、マツダ「MAZDA3」に7点、BMW「3シリーズ・セダン」に4点、ホンダ「N-WGN/N-WGN Custom」に2点、トヨタ「カローラ/カローラツーリング」に2点を配点。今年は筆者が10点を入れたクルマがCOTYに輝いた。 ====== <2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー得点表> 1位 トヨタ RAV4 436点 2位 マツダ MAZDA3 328点 3位 BMW 3シリーズ セダン 290点 4位 トヨタカローラ/カローラツーリング 118点 5位 ジャガー I-PACE 109点 6位 ジープ ラングラー 56点 7位 ホンダ N-WGN/N-WGN Custom 54点 8位 メルセデス・ベンツAクラス/Aクラスセダン 53点 9位 ニッサン デイズ 35点 9位 ミツビシ eKクロス/eKワゴン 35点 10位 ダイハツ タント/タントカスタム 21点 ======  筆者のCOTYの選考理由は、選考委員になった当初から①パーソナルモビリティとしての素養があるか、②30年後の自分が安心して乗れるクルマ作りがなされているかの2点だ(選考委員になって10年目なので、今や20年後の自分だが)。  ①はズバリ、燃費数値が良くて製造から廃棄までCO2排出量が抑えられているか。②は、この先も進む超高齢社会を見据えた選考理由だ。  日本では、65歳以上を高齢者、75歳以上を後期高齢者と定義付けているのはご存じの通り。総人口(1億2671万人)のうち、後期を含む高齢者は27.7%(3515万人)で、この比率は、人口分布を見る限りしばらくは増加の一途をたどる。そうしたなか65~69歳までの高齢者(992万人)の77.2%(766万人)が運転免許を保有している。高齢ドライバーは、こんなにもいるのだ。  ちなみに、これが70~74歳になると66.1%(512万人)、75~79歳では47.3%(318万人)、80歳以上ともなれば20.6%(221万人)と大きく下がる(数値は、いずれも平成30年版高齢者白書/平成30年版交通安全白書)。  現在、47歳の筆者も20年後は67歳で高齢者真っ只中。筆者のような団塊ジュニア世代は人口が多いことから、2039年の運転免許保有者は今以上に多いと予想される。つまり、そうした世代が安心してクルマに乗れることが「高齢者の交通安全」を考えるうえで大切であり、これはCOTYとしても重要な指標になると考え、選考理由に挙げ続けてきたのだ。運転の楽しさが高齢者となっても持続することができるクルマ社会の実現こそ、クルマに携わる者の永遠のテーマではないかと。  もっとも、住んでいる地域の交通環境によっては、70歳はおろか80歳以上であっても自らクルマを運転しなければ毎日の生活が成り立たない状況も多いだろう。だからこそ、若者が楽しめて、高齢者も安心できるクルマ作りが大切なのだ。  具体的には乗降性能に優れ、視界が広くて死角が少なく、過信を抱かせない運転支援技術や通信技術がふんだんに採用されていることに加えて、外部給電ができることも災害時には重要になろう。
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RAV4の高い得点率
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