俺の夜
田中角栄「日本列島改造論」の時代から構想が始まること実に四十余年。ついに東京―金沢間を結ぶ北陸新幹線が、3月14日開通した。
前田利家公が築いた加賀百万石の城下町として栄えた金沢。小京都とも評されるとおり、大名庭園、茶屋街、武家屋敷――パワースポット女子が泣いて喜びそうな趣向が随所に見られる観光名所である。
とくれば、時代劇通を自任するスギナミ。歴史ウンチクなぞを垂れながら巡る「金沢ぶらり歩き」でも紹介したいところであるが、本稿の趣旨ではないとの上意。
聞けば、金沢は知られざる美女の産地としても有名。開通したばかりの新幹線に飛び乗り、金沢の物見遊山を偵察する任を仰せつかった。
好況感に沸く金沢はサービス合戦が激化
金沢イチの繁華街・片町。「まつ」のようなご当地美女を探しに訪れたのは、北陸最大級キャバクラと誉れ高い「ZOO金沢」だ。「いらっしゃいませ~」
目鼻立ちの整った美女3人がお出迎え。日本屈指の水どころで育ったことが窺える、弾力のありそうな白い肌と甘い香りに、拙者、早くも卒倒寸前でござる。「えっ、東京から観光で? 新幹線で近くなったし、毎月来てもらえるようにサービスします(笑)」
と、想像以上に柔らかい二の腕をぷにゅっと押し付けてくるあいちゃん。「ま、毎月といわず、毎週通います」と、スギナミの得意技“安請け合い”で応じれば、「ほんとに~」とほっぺをぷくっと膨らませて、愛嬌のある笑みを投げかけてくる。
新幹線開通で東京からのリピーター獲得にサービス合戦が繰り広げられるとあれば、これはもう“夜の特需”といっても過言ではなかろう。
その後も、ひっきりなしに押し寄せる美女たちの接客に仕事も忘れて目尻は下がる一方。さしずめ俺は奥女中と戯れるバカ殿か、はたまた金沢名所・忍者寺で美女くノ一にからめとられた下忍か。すっかり骨抜きにされたところで次の目的地へ出陣。
⇒【後編】に続く https://nikkan-spa.jp/820178
【ZOO金沢】石川県金沢市片町2-21-27 オーロラビルB1F
電:076-221-1552
営:20時~ラスト
料:60分5000円~(2人以上で4000円~ 指名料金は60分2000円 税・サ28%)
休:日
在籍キャスト数は100人で常時40~50人が出勤。
http://www.zoo-kanazawa.com
夜のガイドはおまかせ♪
街の中心部には、周囲を威圧するかのような2つの塔がそびえ立つ。東西に並んだエルビルイーストとウエストだ。ビル入り口を覗けばファッションビルでないことは一目瞭然。ラウンジ、キャバクラ、スナック。夥しい数のテナントが入った男の夢の城である。
飛び込みで入ったのはラウンジ「AGEHA」。在籍キャストは約18人で平均年齢は27歳。「開通を心待ちにしてました」とは、生まれも育ちも金沢の桜子ママ。「グルメも名所も、観光ガイドよりも詳しく教えられるから遊びにきてくださいね」
銀座に支店のある金沢の伝説的クラブ「利恵」が駅前に出店する噂も流れるなど、好況感に沸く夜の片町。勢いのあるエリアの夜遊びは、盛り上がること請け合いだ。
【AGEHA】
石川県金沢市片町2-21-35 エルビルイースト6F
電:076-221-0602
営:20時~翌1時(休前日は2時まで)
料:70分6000円(飲み放題)
休:日・祝
気取らずに遊べるのがウリで北陸3県出身の女性たちが在籍。カラオケの歌える個室も人気
筋金入りの夜遊び通であってもスナック、パブ、ラウンジの違いを説明できる御仁は少ない。夜遊び業態の定義は混迷を極めるばかりだが、都市間ではさらに開きがある。
北海道にUターン転職した大学の同級生S(37歳)が、昨年末に久々の上京。いきおい歌舞伎町のキャバクラになだれ込むが、どうにも様子がおかしい。入店して30分ほどたったときのこと。隣についたキャバ嬢に「で、この店は? ハード系なの? ソフト系なの?」と詰め寄るS。「う~ん、ソフトかな?」と訳もわからず嬢が答えた瞬間、「オホン、それでは」とやおら胸を揉みしだき、強烈ビンタのお仕置き。強面の黒服に羽交い締めにされ、2人して強制退場の憂き目に遭ってしまった。
ススキノでいうキャバクラは東京でいうセクキャバにあたる。Sが執拗にこだわっていたハード系、ソフト系とは、下半身へのタッチがあるかなしかの違いだ。
「ほんの冗談だったのに……、東京は冷たいべ。札幌は寒いけど、その分、女のコの性格も肌も、なまら温かいよ」
聞けば、2月5日から始まる「さっぽろ雪まつり」を控えたススキノでは、当地のホステスさんの中から選ばれる氷の女王が決定したばかり。新年早々財布を落とし、身も心も、懐具合も寂しいばかりのスギナミ。道産子との心温まる触れ合いを求めて、羽田発、新千歳行きの便に乗り込んだ。
氷の女王の内面は心温かい純朴さ
空港から電車で45分。札幌駅で乗り継ぎ地下鉄で北24条駅に到着。駅から出た瞬間、風速30m、アイスブリザードのキツい洗礼を受ける。雪が舞い、1m先が見えず徐々に奪われていく体温。「これは、氷の女王の呪いか?」
悪態を突きつつ、魔女(!?)の待つ店まで、決死の行軍。鼻水を垂らしながら、お目当ての店「メルシー原価」にたどり着く。
「いらっしゃいませ。寒かったでしょ。さ、こちらで暖をとって」
到着と同時にタオルを差し出し、石油ストーブの前へと誘ってくれるのは、小動物系の顔立ちをしたママのまりさん。体も温まったところで、ふと店内を見渡せば、動物の巣穴のようなカウンターテーブルが広がり、さながら不思議の国に迷い込んだアリスの心境。そしてついに、2015年度の氷の女王・田中かなちゃんの登場。
⇒【後編】に続く https://nikkan-spa.jp/792018