札幌のアナ雪!大衆店から誕生した新・氷の女王に会ってきた!

 筋金入りの夜遊び通であってもスナック、パブ、ラウンジの違いを説明できる御仁は少ない。夜遊び業態の定義は混迷を極めるばかりだが、都市間ではさらに開きがある。

 北海道にUターン転職した大学の同級生S(37歳)が、昨年末に久々の上京。いきおい歌舞伎町のキャバクラになだれ込むが、どうにも様子がおかしい。入店して30分ほどたったときのこと。隣についたキャバ嬢に「で、この店は? ハード系なの? ソフト系なの?」と詰め寄るS。「う~ん、ソフトかな?」と訳もわからず嬢が答えた瞬間、「オホン、それでは」とやおら胸を揉みしだき、強烈ビンタのお仕置き。強面の黒服に羽交い締めにされ、2人して強制退場の憂き目に遭ってしまった。

 ススキノでいうキャバクラは東京でいうセクキャバにあたる。Sが執拗にこだわっていたハード系、ソフト系とは、下半身へのタッチがあるかなしかの違いだ。

「ほんの冗談だったのに……、東京は冷たいべ。札幌は寒いけど、その分、女のコの性格も肌も、なまら温かいよ」

 聞けば、2月5日から始まる「さっぽろ雪まつり」を控えたススキノでは、当地のホステスさんの中から選ばれる氷の女王が決定したばかり。新年早々財布を落とし、身も心も、懐具合も寂しいばかりのスギナミ。道産子との心温まる触れ合いを求めて、羽田発、新千歳行きの便に乗り込んだ。

氷の女王の内面は心温かい純朴さ

メルシー原価

(写真左から)札幌郊外が出身のみゆちゃん、氷の女王・田中かなちゃん、小動物系のまりママ、ロシア系美人スパイ顔のゆみちゃん

 空港から電車で45分。札幌駅で乗り継ぎ地下鉄で北24条駅に到着。駅から出た瞬間、風速30m、アイスブリザードのキツい洗礼を受ける。雪が舞い、1m先が見えず徐々に奪われていく体温。

「これは、氷の女王の呪いか?」

 悪態を突きつつ、魔女(!?)の待つ店まで、決死の行軍。鼻水を垂らしながら、お目当ての店「メルシー原価」にたどり着く。

「いらっしゃいませ。寒かったでしょ。さ、こちらで暖をとって」

 到着と同時にタオルを差し出し、石油ストーブの前へと誘ってくれるのは、小動物系の顔立ちをしたママのまりさん。体も温まったところで、ふと店内を見渡せば、動物の巣穴のようなカウンターテーブルが広がり、さながら不思議の国に迷い込んだアリスの心境。そしてついに、2015年度の氷の女王・田中かなちゃんの登場。

⇒【後編】に続く https://nikkan-spa.jp/792018

スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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