密着トーク、育成システムetc.アイドルに会える最新カフェ

 アイドル戦国時代と呼ばれて久しいが、ブームの原動力となったのは、AKB48に代表される、“会えるアイドル”というコンセプト。人気グループの握手券にはプレミアがつき、その内容も握手会からハグ会、生キス会などへと細分化。アイドルにハマった記憶は南野陽子、森高千里止まり。“アイドルとの接触は聖域”だったスギナミ世代にとって、この変化はやはり革新的であり、「生まれる時代を間違えたか……」なんてボヤく始末だ。

 ブームになれば、人・カネが集まってくるのも世の常。有能なクリエーター、プロデューサーがこぞってアイドル育成プロジェクトに参戦。“仕掛け”の妙味で世間を「アッ」と言わせるのはもちろん、歌唱力・ダンスといった技術ベースの底上げも年々高まり、アイドルビジネスの視点でみても、相乗効果を生んでいる。

 多角化する一方のアイドルビジネスシーンだが、それは飲食業界にも波及している。すなわち「アイドルに会える飲食店」が、よりマニアックにシステムを変えているというのだ。その最新進化系を、2号にわたってお届けしよう。

客がアイドルの育成システムに参加

バクステ,朝倉ゆり,広沢麻衣,針尾ありさちゃん

 まず訪れたのは「AKIHABARAバックステージPASS」。カフェスタイルでキャストが接待し、ショータイムで歌とダンスを披露――というスタイル自体は以前からあったが、最大の特徴は、客がプロデューサーとなって、アイドル育成に参加できる点。飲食や来店を重ねるごとに貯まったポイントでプロデューサーランクが上がり、推しキャストに投票する際の“掛け率”が上がるという仕組みだ。この日は、100人を超える在籍メンバーの中から、年間“推しランキング”の上位3人がアテンドしてくれた。

「一人ひとりのプロデューサー様から直に意見や感想を言ってもらうことが多いです。すると、ステージでも『見られてるから頑張ってアピールしなくちゃ』って意識が強くなるんです。みなさん目が肥えてるから」(針尾ありさ)

AKIHABARA バックステージ PASS

30分のステージは一日3回披露。その舞台はステージ上のみならず客席にも広がる。ついさっきまで、世間話をしていたあのコが頑張る姿に、キュンとくる

 平日昼間はレッスンの様子を眺めながら食事することも可能。練習、接客、ステージを総合的に判断して「今週はこのコがセンター」なんて“物言う株主”気分を味わえる。これは気持ちいいかも。

「ランキングを気にしてたのは最初だけです。とにかく楽しんで一生懸命やってる姿を見せられれば結果はついてくるって意識に変わりましたね」(広沢麻衣)

 投票システムがパフォーマンス力の向上に――ここでも正の相乗効果が生まれているようだ。

【後編】に続く⇒

【AKIHABARA バックステージ PASS】
東京都千代田区外神田1-7-6
電:03-5298-5286
休:第2火曜
営:11~23時
料:チャージ1時間600円(1ドリンク付き)。
プロデューサーシステムの利用は「社員証」(300円)の登録が必要。同店から生まれたユニット「バクステ外神田一丁目」(作詞・作曲/つんく)の最新シングル「ヨロピクピクヨロ!」は’13年1月30日発売

スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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