第四十九夜【後編】

【テポドン(33歳)】

日常会話こそ、最大の武器!

「こんばんは!」

 キュートで張りのある挨拶と、はにかむ笑顔で出迎えてくれたのは麻衣ちゃん(24歳)だ。本業を訪ねると「昼間は歯医者さんの受付してるんですよ」とのこと。歯といえばこの俺、なんと虫歯がまったくなくて幼稚園卒園以来、歯医者に行ったことがない、健康な”剛歯”自慢をすると抜群の食いつき。結局、歯ブラシは硬い派か柔らかい派かという、まったくもってどうでもいい話で大いに盛り上がってしまった。

 傍から見れば、歯ブラシの会話で盛り上がって何になる?と、思われるだろうが、ここがこの店の最大のウリではなかろうか。キャバクラに行くたびに、キャバ嬢たちと会話がズレて困ってしまう三十路の男は多いと聞く。飼ってる犬の自慢をされて、自分が猫派であると言い出せずに話が終わった過去が脳裏をよぎった。

 身の丈に合った、ストレートな日常会話でお互いの共通点を探ることって、実はとんでもなく効果の大きい”口説き”ではなかろうか。こうした非日常空間で交わされる日常の与太話に、俺は違和感も覚えたがそれ以上に楽しさと安心感があったのである。やっぱ昼間OLやってるだけあって、話が妙にリアルなんだよね。昼に作って持っていくお弁当の話とか、朝の通勤ラッシュが辛いとか……。キャバクラじゃ味わえない親近感は、とても新鮮なのだ。

 キャストのコたちの”本業”を聞いていくだけでも面白い。アパレル系の販売員、OL、学生からモデルやタレントの卵まで揃っているのだ。挨拶代わりに昼間の本業を聞いてあげれば、自分との意外な共通点なんかも出てきて打ち解けるまでの時間を大幅に短縮できたりもするのである。かくいう俺も、大学の後輩にあたるキャストのコと遭遇。母校のラグビーと野球の話で余計に3杯ほど酒が進んでしまったのだった。

“カフェ”だから、ノンアルコールもOK!

 この日、店内は月曜日なのにほぼ満席の盛況ぶり。だが、ほかのテーブルを見て驚いたんだが、意外にもお茶やコーヒーを飲みながら、2人でまったり話し込んでいるお客さんが多いのだ。

 さすがはガールズ・”カフェ”だけあって、女のコもお客さんも自由なスタイルでいいわけだ。酒を飲みながらアッパーテンションで遊ぶのもいいが、たまには落ち着いてお茶でも飲みながら世間話を楽しむのもいいかもしれない。ネエちゃんとは酒を飲むものという、不文律はもはや崩壊したのかもしれないな。

多少どころか、けっこうなわがままも聞いてくれる娘ッコたちに男心がくすぐられること間違いなし! この日は、嫁に言ったら嫌われることを全部お願いしてみた

撮影/磯野祐次

テポドン エロ系実話誌などで修羅場をくぐったロクデナシがSPA!流の夜遊びに突撃!
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