第百一夜【前編】

“食欲の秋”にオススメしたい
女のコと飲めて満腹になれるお店

 食べ盛りの男子が集う学生街につきものなのが、早い、安い、ボリューム満点がウリの定食屋の存在。かくいうスギナミも当時は、「ココイチカレー1300g20分完食」の肩書きをひっさげ、鉄の胃袋を持つ運動部の猛者どもを相手に、大食いバトルを繰り広げたものだった。しかしこれも時代の変化か、学生時代お世話になった定食屋のおばちゃんが、先日、こんなボヤキを口にしていたのだ。

「最近の学生さん、ご飯大盛りにしてくれないのよ。もっとヘルシーなメニューを増やしてほしい、なんて言うコもいるしねぇ」

 草食男子ならぬ小食男子が増えていたとは……。映画『トラック野郎』で菅原文太扮する星桃次郎の、どんぶり飯をかっこむ姿にこそ男の美学があると信じてやまない僕は、「食べないと嘆くおばちゃん」→「おばちゃん……とはいえ女は女」→「小食男は女に好かれない」という強引な三段論法を打ち立ててみた。

 女のコの前で男の食べっぷりを見せれば、「ウソ? すごくワイルドでかっこいい。スイーツに紅茶の男なんてポイ捨てね」となるはずなのだ。

 そんな妄想に思いを巡らす僕の耳に入ってきたのは、女のコとお酒を飲めて食事も楽しめるお店の存在。早速、胃薬を懐中深くに忍ばせ、まずは昼下がりの赤坂へと向かった。

食欲と女のコ。ダブルで満たす快感

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 最初に訪れたのは、食べ放題のビュッフェを楽しめるキャンパスカフェ「BADD GIRLS 100%」。空腹状態でハウスボトルを飲み続ける……なんて辛さもなく、一次会から楽しむことのできる夜の名店だ。

「今日は秋の味覚が揃ってるみたいですよ、一緒に取りにいこ!」

席につくなりビュッフェコーナーへエスコートしてくれたのは、キュートな笑顔が眩しい高平かおちゃん。「この松茸が入った炊き込みご飯が人気……あっカキフライもおいしそ~」なんておしゃべりしつつ一緒に取り分けていると、ちょっとしたカップル気分を味わえる……って、え~っと、当初の目的ってなんだったっけ?

「あっはは。でも確かに、私は男の人にはガツガツ食べてほしいな。女のコの前でサラダだけとかって、ちょっと頼りない気がする」

そんな藤田りこちゃんのエールに勇気をもらいギアをチェンジ。お皿をかかえて好物のカキフライを頬張り始めると、隣の井上なつこちゃんから、「あれれ? スギナミさん、無口になってません? 女のコはもっとおしゃべりも楽しみたいんだから」とのお言葉。

男っぷりも度が過ぎれば単なる食いしん坊。かわいこちゃん揃いで浮き足立った胸の内を見透かされぬよう、次なる目的地・池袋へと向かった。

【BADD GIRLS 100%】

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在籍するコは全員現役の女子大生。
(左から)高平かお(22歳)、井上なつこ(22歳)、藤田りこ(22歳)。3人揃って4年生だ

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住:港区赤坂3-15-13冨司ビルB1F
電:03-5570-4420
休:日祝
営:16時半~ラスト
料:4410円(16時半~20時/70分)、1万710円(20時~ラスト/70分)
こだわりシェフの本格料理を楽しめるビュッフェはオールタイム食べ放題。
六本木、銀座にも系列店あり

協力/猪口貴裕 撮影/石川真魚

スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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