第百十三夜【前編】

スレた美女より明るいブス。女芸人だらけの異色パブに突入!

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「気立てのいいブスと性格が悪い美女、選ぶならどっち?」”選べる立場”かどうかはさておき、男なら誰もが一度は思い悩み、真剣トークを繰り広げたに違いないこのテーマ。人生をダメ出しされほどの”女からの叱責”に飢えているスギナミ的には性格の悪い美女は大歓迎である。

ところがこのお題が「明るいブスとネクラな美女」だった場合、間髪入れずに「明るいブス!」と即答してしまう。特に酒の席での”暗さ”は重罪。「だって/どうせ」と、なぜか後ろ向きな発言を繰り返すキャバ嬢が、隣の席についたときの空気の重さは筆舌に尽くしがたいものがあるからだ。

それにひきかえ、明るいブスの十徳ナイフのようなお得感はどうだろう。合コンでは美女の引き立て役、盛り上げ要員として活躍。そのうえ、多少はイジってもヘコたれない耐久性を誇る。”楽しい酒”には欠かせない存在だ。

そんな女のコと遊べるお店といえばスナック。その日も僕は、”射精じゃない癒し”を求めて地元・中野駅周辺を闊歩していた。すると駅前で「女芸人と飲める店」と書かれたティッシュを配る男性に遭遇。

「キャストは明日のお笑いスターを目指すコばかり。テレビデビューしてない”卵”ばかりなので、面白いよ! とは断言しませんけど、みんな一生懸命やってるんで、試しに遊んでやってくださいよ」

店長自らの街宣。そしてなにより、女芸人といえば明るいブスの代名詞。野獣の檻に閉じ込められるような一抹の不安もあったが、「シャレのつもりで、どうぞ!」と手を招く店長の後に従い、一路、お店へと向かった。

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協力/猪口貴裕 撮影/石川真魚

スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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