倉山満「嫌韓派の人たちほど、実は韓国に甘えている」
日本人が信じている「教科書的近現代史」を根こそぎ引っくり返し、正しい歴史認識を提示する大ヒットシリーズ『嘘だらけの○○近現代史』(扶桑社刊)。
『日米』『日中』に続き、最新刊の『嘘だらけの日韓近現代史』もベストセラー街道を驀進中だが、著者の倉山満氏は「アメリカや中国と比べて、韓国はあまりにも語る価値がないので執筆が辛かった(苦笑)」と、本音を明かす。
「本書を楽しんでくださった読者は、ぜひあわせて『日米』と『日中』も読んでください。シリーズ3冊通して読むと、韓国という国の取るに足りなさがよくわかるはずです」
そんな倉山氏の突き放した思いとは裏腹に、日本国内における「嫌韓・反韓ムード」はますますホットになる一方だが……。
「韓国人を叩くのは簡単ですが、それは“絶対評価”でしかないんです。皆が大嫌いなパク・クネ大統領にしても、今、彼女よりマシな人材が韓国にいるのかという点を考えるべきでしょう。大統領選では、本選でも与党内の予備選においても、彼女が唯一の『親中反日』派でした。ライバルは全員『親北反日』。あの国では、パク・クネよりマシな人なんて出てきようがないんですよ。父親のパク・チョンヒだって、批判材料はいくらでもありますが、少なくとも韓国2000年の歴史において、日本にとっても韓国にとってもいちばんマシな指導者だったと言えるでしょう」
良いか悪いかのみを論じる“絶対評価”はアホでもできる。付き合いを避けて通れない以上、一番マシな人間を相手にするにこしたことはないのに、それを叩きまくってどうするという話である。
「パク・クネを絶対評価で叩くのは、“もっとマトモな国になれるはず”という韓国への期待の裏返しに他ならない。マトモになんてなれっこないという絶望的な現実を受け入れられていないんです。実は嫌韓派の人たちが、いちばん韓国に甘えているんですよ」
韓国人に対しては“相対評価”で臨むべき。また、嫌韓一辺倒ではなく、したたかな外交術を身につけるべき……と倉山氏は言う。
「アフリカで孤立した韓国軍が、日本からの弾薬供給を受けられなかったという一件がありましたが、ああいうときこそ普段ヘイトスピーチをやってるような人たちの出番なんです。在特会あたりが官邸に乗り込んで行って、今回は韓国が何を言おうが弾薬を受け取らせるべきだ、なんなら俺がソウルに乗り込む!と気勢を上げるべきだった。日本でいちばんヘイトスピーチをやってる連中が弾薬を送ると言っているのに、それを韓国政府が断ったとしたら、それがひいては韓国の真人間を育てることに繋がり、反日政府への打撃ともなります。万一、国防軍がクーデターを起こしたときには取引もできる。そういう恩義は、韓国人といえども絶対忘れませんから。特に軍人とはそういうものです。また、第三者へのアピールになる。歴史問題で日本は圧倒的に不利な状態なのですから、韓国をどうするか以上に第三者にアピールできるパフォーマンスが重要なのです」
ヘイトスピーチも使いようなのである。
「愛国者を自称する人たちは、韓国の反日を“解決”しよう、尖閣問題を“解決”しようと考えているフシがありますが、“歴史問題は解決しない”という認識が必要です。嫌韓活動に血道を上げても、尖閣諸島をウロウロしても、相手を刺激するだけで何の意味もありません。国家間の問題に対しては、弥縫(びほう)策を取り続けるのが正解なのです。日本人は、どうせ、向こうの方が先に亡ぶ、という自信を持ちましょう」
いたずらに相手を叩く原理主義者こそ国益を損なう。そんな彼らに倉山氏が鉄槌を下す新刊『保守の心得』(扶桑社刊)が、現在amazonで予約受付中。こちらにも、ぜひご期待いただきたい。
【プロフィール】
倉山満氏。憲政史研究者。シリーズ累計20万部を突破したベストセラー『嘘だらけの日米近現代史』『嘘だらけの日中近現代史』『嘘だらけの日韓近現代史』に続いて、『保守の心得』を3月1日に発売
<取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/本多 誠>
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