会長の毒舌炸裂!スズキ・ハスラーは軽のハマー
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
日本のいや世界の自動車業界の重鎮であるスズキ自動車の会長兼社長の鈴木修氏は、歯に衣着せぬ言動で自動車業界のみならず、日本の政治・経済にも大きな影響力を持つ御仁です。かつて会長は「アメリカのGMが鯨なら、うちは蚊だ」とおっしゃいましたが、今回は会長から見ればミジンコみたいなワタクシが、昨今の軽自動車について愚見を述べさせていただきます!
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆鈴木修会長!海よりも広い心で軽自動車税増税を受け入れてください
昨年の暮れ、軽自動車税値上げの決定に際し、“俺は、中小企業のおやじ”こと、スズキの鈴木修会長の毒舌が炸裂した。
「弱いものイジメだ」
「ダイヤモンドに税金をかけろ」
「心の中は燃えちぎっている」
「どっかで恨みを晴らしてやる」
これら一連の発言に世間は喝采。弱者の味方、平成のご意見番と祭り上げた。
その直後に出たクルマが、ハスラーです。
見た目は軽のハマー。どっから見ても弱そうに見えません。一番高いグレードのお値段は157万6000円。フィットのフツーのヤツ(13G Fパッケージ:136万円)よりぜんぜん高いです。
みなさま、これが弱者の乗り物と言えるでしょうか!?
鈴木会長は、ホンダやダイハツがモーターショーに出展した軽スポーツカーに対して、「軽は貧乏人の車だ。スポーツカーはいらない」と発言したけど、コレだって貧乏人のクルマじゃないだろ! それで「どっかで恨みを晴らしてやる」って、モロ逆恨みじゃん!
日本の庶民は、お上に楯突けばそれだけでヒーロー扱いしてしまうが、この発言は間違ってる。今の軽は弱いものでも貧乏人の車でもない、デカくてゴージャスで燃費もイマイチな贅沢モデルが相当あるのだ!
真に弱いもので貧乏人の車なのは、たとえばアルトECO! お値段は83万8950円~。見た目もひなげしの花のように可憐というか安っぽい。ほら、比べてみてくれ!
あれ?
並べたら、そんなに大きさが違わなかった。そりゃそうだ、どっちも軽自動車枠いっぱいに作ってんだから。寸法で違うのは天井の高さだけ。つまり室内の広さも、頭の上のスカスカ度が少し違うだけで、足元のスペースとかはほぼ同じ。アルトECOでも十分広いっス!
エンジンも基本的に同じだ。ハスラーにはパワーのあるターボ付きがあるけど、ターボなしの方が断然売れ筋なので、実質的には同じと言っていいだろ。
これでカタログ燃費にどれくらい差があるのか。貧乏人にとって燃費は命の次くらいに重要なポイント。正義か悪かはここで決まる。
アルトECOがリッター35km。これは凄い。さすが軽ナンバー1。プリウスに勝ってる!
しかしハスラーもリッター29.2kmとこれまた凄い! そんなに差がな~い! まさかの展開だ。
ってことは、車重も大差ないってこと? アルトECOは710kg。さすが貧乏人の車、メチャ軽い。
ところがハスラーも770kgと大健闘! まさかこんなに軽いとは! ハマーみたいなカッコなのに! 最低1トンくらいありそうに見えるのに!
⇒【後編】『増税決定の軽自動車税。車両価格100万円未満は据え置きでもいいのでは?』に続く(https://nikkan-spa.jp/597227)
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=597282
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