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夏のセールで「靴やカバン」を買ってはいけない理由

メンズファッションバイヤーのMB氏

メンズファッションバイヤーのMB氏。「『オシャレに見える』にはちゃんと理屈があるんです」が持論(撮影/難波雄史)

 メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけという本業の傍ら、ブログやメルマガで「オシャレのルール」について発信していたところ、こちらで執筆させていただくことになりました。連載第33回目をよろしくお願いします。  7月に入りデパートや百貨店では絶賛セール中。今年の春夏は空前のアパレル不況で、独り勝ち状態のユニクロ以外はどこのお店も売り上げを落としています。つまり、「物が余っている」ということ。それだけに今年のセールは期待できるのですが、安いからといってなんでも買っていたら失敗します。そこで、夏のセールで買ってはいけないアイテムをピックアップ。ショッピングの参考にしてみてください。 ▼靴やカバンをセールで買ってはいけない理由 「セールで買ってはいけないもの」の代表格は靴やカバンなどの「小物」です。もちろんいいものもあるでしょうが、「小物」はセール開始のすぐ後に、「新作」が入荷します。アパレルの商品発売時期というのは、どのブランドも概ね同じで、春夏の新作が入ってくるのは1~2月頃。秋冬の新作が入ってくるのは7~8月頃です。そこから新作第一弾のリリースがあり、その後毎月順次新しいアイテムが入ってくるのですが、小物はどのブランドもまず最初に入荷するアイテムなのです。  なぜかというと、7月は、セール品の利ざやが低く稼ぎにくい時期です。そこで、利益がきちんととれる新作を早く提案したいのですが、長袖やジャケットなどの秋冬品を出しても早すぎるため売れません。しかし、新作を早く出さなければブランドのファンに飽きられてしまうため、まずは小物をリリースする仕組みになっているのです。  靴やカバンなどの革小物はシーズンレスで需要があります。ショップスタッフも新作コーナーで迷っている客にかける言葉は「まずは小物から揃えてみてはいかがでしょう?」が常套句です。そんな発売スケジュールが組まれているので、実は7~8月のセールの時期は、新作の良質小物が選びたい放題。男性であれば、革靴やカバンなどは10年使うものだって珍しくありません。売れ残りのセール品をいくら探しても、10年使うほど気に入る物は手に入りません。結局、セールで買うと、中途半端な買い物になって、すぐ飽きたり、使わなくなることが目に見えています。買った瞬間は「安くて得した」気がしても、長い目で見ると逆にコスパの悪い買い物になっていることが多いのです。ちょっとしたアクセサリーならまだしも、財布やカバンや靴など長く使うことが前提の小物はセールでは買わない。遅くとも1か月以内に良品が入荷してきますから!  逆に、本当に欲しい小物を10月頃に探してもすでに「売れ残り」しかない場合があります。ファッション中毒の方々は「靴やカバンなどは早い時期に発売される」ことを知っています。また、ショップスタッフもそういった人たちを優先して連絡するため、小物の良品は7~8月頃にすでにサイズ欠けを起こしてしまうケースが大いにあるのです。 ▼来年着るものを「いま買うな!」  もう一点、絶対に買ってはいけないのは、「来年着られるから買っておこう!」と安さにつられて手を出す春用のコートや、時期ハズレの冬物のコートです。  春コートはいま買っても「来年」には見飽きています。「どんなふうに合わせよう」とワクワクするのはせいぜい1か月。冬を越して来年の春になったら新鮮味が薄れ、「やっぱりこれ使わないかもなあ」とテンションは変わります。メンズ服には定番が多いといっても、 来年の新作を見ればどうしてもそちらが魅力的になります。ならばお金を貯めておいて「来年着るものは来年買う」ほうが余程納得いく買い物ができます。  また、冬物のコートは、何しろ1年売れずに生き残ったヤツです。冬のセールにも耐えて、夏のセールも今まで耐えきたヤツです。ショップスタッフは「これ売れないのが不思議なくらいいいんですよーテヘヘ」なんて言ってきますが、無視。売れないものには理由があります。夏のセールの冬物、冬のセールの夏物は無視が基本です。 ▼7月25日がラストチャンス セール 今は7月の中旬です。実はもうセールは限界です。というのも、多くのブランドは6月末~7月上旬にかけてセールをスタートさせるので、どんなに今季が不況で物が余っているといっても、いいものは根こそぎなくなっています。セールの盛り上がりは最初だけです。どの百貨店もどのデパートも初日は戦争です。消費者は経済合理性に基づいて行動するので、「セールはいいものからなくなっていく」「初日に行けば得な買い物ができる」と理解しているわけですから、あっとうい間にいいものからなくなっていきます。  この時期のセール品の買い物は、「サイズや色など何か一つ妥協して買った」ものが多いはずです。そういった服はいずれ着なくなります。また来月あたりに秋冬の新作を見て「もう少しお金出してこっち買えばよかったな」と思うのが関の山です。余程目利きに自信がなければ買うべきではありません。  セールが気になる人は今すぐ行動しましょう。「セール品はあくまで売れ残り」と肝に銘じながら、給料日後の7月25日、26日が最終日だと思ってください。ここにお客さんも集中するはずですから、いいものが余っているとすれば最後のチャンスです。  消費者的には心踊るセールですが、お店側は「失敗作でもとにかく売りさばきたい!」、消費者側は「いいものだけを安く手に入れたい!」と相反する想いが交錯します。これは「戦争」です。「二つ買うと10%オフですよ~」「小物だけは半額ですよ~」などお店側の攻撃を防いで、良品を買えるように目利きと強い精神力を持ってセールに挑みましょう。7月25日、良品ゲットはここがラストチャンスです! 健闘を祈ります! <文/MB>
MB
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag

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