川内原発だけじゃない…火山噴火のリスクは福島第一原発にもある
8月15日、気象庁は鹿児島県の桜島に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引き上げ、厳重な警戒を呼びかけている。そこで懸念されるのは、再稼働したばかりの川内原子力発電所への影響。しかし桜島以外にも注意すべき火山はあると地球物理学者の島村英紀氏は指摘する。
「桜島は今年だけで500回以上の小規模な噴火を繰り返しており、1000回を超える噴火を毎年続けています。ただこれは、桜島に限った話ではありません。九州地方には火山が多く、霧島の一部である新燃岳も3・11以前から噴火しています。桜島ばかりが注目されていますが、約9万年前の阿蘇山の噴火では、火砕流が瀬戸内海を越えて中国地方を襲った記録もあります。桜島よりも遠いですが、火砕流は噴火の規模によっては到達距離が100km以上になることもあり、阿蘇山の火砕流が、川内原発を襲う危険も十二分にあるのです」
また、福島第一原発に危険を及ぼす可能性のある火山もある。
「福島県と山形県の県境にある吾妻山も、非常に危険な山と言えます。仮に噴火した場合、偏西風に流されて多くの火山灰が原発に降り注ぐこともありえます。しかも厄介なことに、吾妻山は久しく大規模噴火がないため、予兆となるデータが存在しない。予測することが難しい火山なのです」
そして、こちらも警戒レベルが引き上げられた日本有数の観光地・箱根山も、データ不足では札付き。いつ噴火しても不思議ではなく、大災害を招く恐れもある。
「航空写真を見るとわかりますが、箱根は火山活動によってできた大きな凹地に、住居や観光施設などのすべてが入っています。これは火山の中で生活しているようなもので、それだけもかなり危険。このような例は世界的に見ても箱根くらいです。6万~9万年前の噴火では、火砕流が横浜まで来たという記録が残っています。距離にして約50km。もし今それが起きたら、神奈川の広範な地域に及ぶ大災害となります」
世界の陸上火山のうち、7分の1が集中しているとされる日本。噴火から逃れることはできない。
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