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財務省の財務省による財務省のための「消費増税」は絶対に止めろ【経済ブロガー・山本博一】

連載14【不安の正体――アベノミクスの是非を問う】国民をなめているとしか思えない財務省の「軽減税率案」 「徴税コストの無駄!」財務省の財務省による財務省のための消費増税は絶対に止めろ たった年4000円の還付とか、国民なめてませんか?  2017年度に予定されている10%への消費税増税の際に、消費者の負担軽減策として財務省が打ち出した「軽減税率案」が大きな批判を浴びています。  批判されて当然です。還付される金額が少なすぎる。年間一人あたり4000円では、減税対象となる食料品20万円分程度でしかありません。どうせ後で4000円還付されるから、消費を減らさない、なんてバカなことはありません。上限を5000円にする懐柔案も出ていますが、1000円増えても何も変わりません。  しかもです。昨年4月から8%に消費税が増税されたと同時に、負担軽減策として一人6000円がすでに支給されています。これはあくまで一時的な措置であり、財務省の「軽減税率案」の施行と同時に打ち切られる予定なのです。  6000円の給付が、4000円に減ったうえ、消費税率が2%に上昇する。こんなバカげた話があっていいのでしょうか? 国民は暴動を起こしてもいいレベルだと思いますが、財務省の「軽減税率案」に対する疑念はこんなものではありません。 ▼税金を徴収して、税金を使って、税金を還付する愚行  財務省による「軽減税率案」を詳しく見ると、消費者は買い物のときにマイナンバーカードを提示し、軽減ポイントを獲得。その軽減ポイントは「軽減ポイント蓄積センター」で一元管理されるとありますが……この「センター」って一体なんですか?  読売新聞によると、この軽減ポイント蓄積センターの建設に3000億円の費用がかかるそうですが、なぜマスコミの皆さんはもっとこのことを報道しないんですか? 建設費が3000億円を超えてしまった、新国立競技場の騒動はなんだったのでしょうか?  全国民が対象とはいえ、ただ単に軽減ポイントのデータを蓄積管理するだけの施設にこれだけの建設費がかかるとはとても思えません。センターの屋根はキールアーチなのでしょうか?  財務省は納税者である国民に対して納得のいく説明をするべきだと思いますが、もうその必要はないかもしれません。この「軽減ポイント蓄積センター」なるものは、財務官僚の天下り施設なのでしょう。わかり易すぎです。  要するに財務省の増税の目的は「天下り先の確保」です。もし財務省が、日本の財政のために増税をするべきだと本気で考えているのであれば、こんな徴税コストだけが無駄にかかる「軽減税率案」など提案するわけがありません。  ちなみに徴税コストとは、税を徴収するためにかかる行政コストのことです。今回の「軽減税率案」を実現するためには、3000億円のセンターの建設費、そのセンター設備の維持管理費、センター職員の給与、天下り財務官僚の報酬、各店舗のレジに導入するマイナンバーカード読取機の設置補助金。ぱっと思いつくだけでもこれだけの徴税コストがかかってしまいます。  ほとんどの国民は4000円の軽減額上限に達するでしょう。年間20万円の食費などあっという間に消費してしまいます。だったらポイントの集計など面倒くさいことをしなくても、4000円をそのまま無条件で国民に配ればいいだけです。  税金を徴収して、税金を使って、税金を還付する。この行為に何の意味があるのか、私にはさっぱり分かりません。  2014年~2016年までは消費増税の対策として6000円をポンと国民に配ることができたのに、なぜ10%の増税を境に面倒なシステムをねじ込もうとするのか。そこに財務省の本当の狙いがあるように思います。 ▼軽減税率の真の狙い  財務省が今回の増税によって得たいものは、税収の改善でも財政の改善でもありません。軽減税率のシステムの導入、それによる天下り先の無限の拡大です。  軽減税率のシステムが確立されれば、今検討中の食料品以外にも減税対象を拡大することが可能になります。例えば新聞業界など。新聞各社に減税の便宜を図るその見返りに財務省が天下りポストを要求する。そんな構図が目に浮かびます。  さらに、軽減税率が導入されれば、一応は消費者の負担軽減にはなりますので、消費税率の更なる引き上げも比較的容易になってきます。  つまり、 「軽減税率のシステムをねじ込む」→「減税対象に便宜を図ることにより天下りポストを拡大」→「消費税率の引き上げ」→「減税対象を拡大して天下りポストを得る」→「消費税率の引き上げ」……(以下、繰り返し)  要するに軽減税率の導入は、財務省の天下り先を無限に拡大するための地ならし、下準備といったところだと思います。  正に財務省の財務省による財務省のための増税です。なぜこんな財務官僚の老後の保障のために、国民は所得を減らされ、職を失い、自殺により命を落とさなければならないのでしょうか? 全く冗談ではありません。  SEALDs(シールズ)も国会前で騒いでいる場合ではないでしょう。増税こそ絶対に止めなければなりません。デモをやるなら霞が関でどうぞ。  暴走をしているのは安倍政権ではなく、財務省です。  このような無茶苦茶な財務省の「軽減税率案」が通るとは思いませんが、この騒動のおかげで財務省の増税の目的が天下り先の確保であることが露見しました。もはや消費増税に大義名分などないのです。  財務省の財務省による財務省のための増税により、日本経済が潰されるのは我慢なりません。大義なき消費増税は止めるべきです。 ◆まとめ年4000円程度の還付では焼け石に水税金を徴収して、その税金を使って、税金を還付するのはバカげている軽減税率の導入は財務省の天下り先獲得システムを確立させる天下り増税に大義名分はない。10%への増税は絶対に止める 【山本博一】 1980年生まれ。経済ブロガー。ブログ「ひろのひとりごと」を主宰。医療機器メーカーに務める現役サラリーマン。30代子育て世代の視点から日本経済を分析、同世代のために役立つ情報を発信している。近著に『日本経済が頂点に立つこれだけの理由』(彩図社)。4児のパパ
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