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「運の流れを変えなければ」――46歳のバツイチおじさんはカジノに活路を見出そうとした【第20話】

仮説は当たった。 それから俺は、8回連続当たり続けた。 他のテーブルから、中国人客がたくさんやってきて、べらぼうな金額を賭けていくようになった。 しかしディーラーは、大きな金額を賭けた人は大負けし、小さな金額を賭けた人は大勝ちをするという方法で卓を演出していた。 俺は、知らず知らずのうちに2万円近く勝っていた。 それでもディーラーは、細かく賭ける俺を勝たせ続けた。 気づくとテーブルは満席。 途中から、隣にいた中国人のおばさんが俺が勝つたび、大声で「はー~~!!」みたいな変な歓喜の声をあげだした。 俺は黒か赤にしか置かない。 たまに0が出て外れることがあっても、90%の確率で当たり続けた。 テーブルの盛り上がりが最高潮を迎えた時、俺は密かに一回だけ大博打に出た。 2万5000円分をすべて赤に置いた。 すると…………赤に落ちた。 俺の手持ち金は、始まって30分くらいで5$が500$になった。 隣の中国人のおばさんは大喜びでハイタッチをしてきた。 俺は恥ずかしそうにハイタッチで応えた。 そこで、俺はビビッときた。 「テレビ演出家の俺がこの卓を演出するなら、ここがクライマックスだな。後は、だんだん緩やかに下っていくだけだ」 ここが引き際だと確信した。 俺はディーラーにぺこりとお辞儀をし、その卓を離れた。 中国人のおばさんが「なんで、今、離れるんだよ!」と大騒ぎして換金所に向かう俺についてきた。そして、「勝ったからチップをくれ!」と言ってきた。 俺は「ノーノー!」とおばさんを追い払うと、500$(56000円)を手にした。 俺はディーラーに勝たせてもらったのか? 運が良かっただけなのか? 自分ではわからなかった。 一つだけわかったことは、このお金を持ったままここにいると、欲が出て、また賭けちゃいそうということ。 俺は、急いでホテルから出ようとした。すると出口近くでクラブミュージックが聞こえてきた。 「ホテルが運営しているクラブかな?」 興味本意で中を覗いてみた。 そこは、キレイな女性とカネ持ちそうな男がたくさんいるディスコクラブだった。 入場料は無料。ただ、カクテルなどが一杯5$(560円)する。カンボジアのビールが一本0. 5$(56円)と考えると、結構いい値段だ。 「ま、勝ったから一杯くらいいいか~」 そう思い、高校時代大好きだった佐野元春の「IT’S ALRIGHT」の歌詞に出てくる「ドライマティーニ」を頼んだ。高校3年の時、背伸びして初めてディスコに行った。当時、佐野元春の曲を俺に教えてくれた大親友、神屋とディスコで初めて頼んだのが「ドライマティーニ」だった。 「そういえば神屋、結婚式の時、教会で立会人になってくれたなぁ」 ふと、そんなことを思い出した。 いや、忘れよう。 俺は、勝利の美酒に溺れるため、一人で乾杯をした。 その時だった。 「ごっつさん!!!」 大きな声で俺を呼ぶ声が聞こえた。 声のほうを見ると、馬見新ちゃんが俺を見て、大爆笑していた。 カンボジアのバスターミナルで偶然の再会をした馬見新ちゃんと、こんな短期間でまた偶然の再会をした。 馬見新「何でこんなとこにいるんすか?」 俺  「こっちが聞きたいわ!」 馬見新「すげーごっつさんに似てる人がいるな~と思ったら、まさか本人とは」 俺  「ほんとだね~。何でここにいるの?」 馬見新「こっちで仕事しようとしてる仲間と視察に来てて」 俺  「あーそうなんだ」 馬見新「この後、フィリピン人の女の人二人と飲むんですけど合流しません?」 俺  「え? 行く行く!」 馬見新「携帯、持ってますよね?」 俺  「うん、あるよ」 馬見新「じゃあ、一時間後に店のURL送るんで、来てください。ちょっと仕事があと少しだけあるんで」 そう言って、彼は仕事仲間と去っていった。 カジノでのギャンブルを終えた直後に、馬見新ちゃんとまさかの再会。 運の流れのようなものを感じた。 この流れが吉と出るのか凶と出るのかわからないが、とりあえず面白そうなのでこの流れに身をまかせることにした。 「やっとプノンペンが動き始めたんだ」 この後、プノンペンで運命の人と出会うことになるとは、微塵たりとも感じていなかった――。 次号予告「カンボジアで早くも恋の予感!? 揺らめくプノンペンの灯」を乞うご期待! ●後藤隆一郎(ごとうりゅういちろう) 「運の流れを変えなければ」――46歳のバツイチおじさんはカジノに活路を見出そうとした後藤隆一郎IVSテレビ制作(株)のADとして「天才たけしの元気が出るテレビ!」(日本テレビ)の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」「トリビアの泉」「学べる!ニュースショー!」など数々の番組制作に携わる。現在はディレクターを休業し、「大体1年ぐらい」という期間限定で花嫁探しの旅に一人で挑戦中。バツイチ、46歳、通称ごっつ。 ― 英語力ゼロの46歳バツイチおじさんが挑む「世界一周 花嫁探しの旅」―IVSテレビ制作(株)のADとして「天才たけしの元気が出るテレビ!」(日本テレビ)の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」「トリビアの泉」「学べる!ニュースショー!」など数々の番組制作に携わる。現在はディレクターを休業し、「大体1年ぐらい」という期間限定で花嫁探しの旅に一人で挑戦中。バツイチ、46歳、通称ごっつ。ツイッターは@ikirudakesa インスタグラムはryuichirog
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