「海外口座で資産フライト」を試みて大損した人々
4年ほど前に流行した「資産フライト」を覚えているだろうか? アベノミクスによる円安や規制強化で今や見る影もない。ブームに踊らされた人たちのその後を追いかけ、租税回避をめぐる包囲網の実態をリポート!
◆中間業者が廃業し、解約に高額の手数料
――藤田健二郎さん(仮名・67歳)/無職/資産目減り ▲400万円
4年前、日本発着の「香港口座開設ツアー」に参加し、現地在住の日本人業者に勧められるまま中国系のファンドに投資した藤田さん。
「1000万円を退職金から捻出しました。2年後、円安のおかげで1割ほどの含み益ができたのですが、中国経済の先行きも不安になってきたので、解約しようと業者に連絡をとったところ、『もう廃業した』と言われました」
英語もわからず、ネット上で解約もできなかった。仕方なく香港に足を運び、通訳を雇ってやっと解約できたという。
「購入時に聞いてなかった手数料や違約金などが徴収され、戻ってきたのは600万円ほど。今にして思えば、その日本人業者に騙されたようなもの。異国の地で老後資金を稼ごうとした当時の自分を呪うばかりです」
老後破綻寸前だという藤田氏は今、アルバイトを探している。
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