“ヒットマン”ブレット・ハートのいらだち――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第141回
同日、全9試合中、第6試合という“前座”のポジションにレイアウトされたホーガン対ヨコヅナのWWE世界戦は、セコンドの乱入アシスト(火炎攻撃)からヨコヅナがホーガンにフォール勝ちし、約2カ月ぶりに王座奪回に成功。ホーガンはホーガンのキャラクターが傷つかないような試合内容でベルトを手放した。
“キング・オブ――”トーナメント終了後、ジェリー“ザ・キング”ローラーが登場し、トーナメント優勝者ブレットを襲った。いまになってみると“キング・オブ――”トーナメントというコンセプトは、ニューカマーの“キング”ローラーをWWEの連続ドラマの新しい登場人物としてデビューさせるための“予告編”だった。
ローラーは1970年代から1980年代後半までをテネシー・マットの“王様”として活躍したレスラーで、ローラー自身はそれまではつねに“アンチWWE”の立場をとってきたためWWEとの電撃契約はファン、関係者を驚かせた。1949年生まれのローラーはこの時点でキャリア23年、43歳の大ベテランだった。
ブレットにとって新顔のローラーとの因縁ドラマは“期間限定”のアナザー・ストーリーでしかなかったが、ハウスショーのメインイベントとしてはひじょうに便利なカードといってよかった。ブレットは王冠をかぶったローラーのことをファストフード・チェーン店の名称と同じ“バーガーキング”と呼び、これがWWEでのローラーのニックネームとなった。
WWE世界王座をめぐる長編ドラマのキーパーソンはヨコヅナとブレットのふたりになるものと思われたが、ビンスが夏のスーパーイベント“サマースラム”の主役に抜てきしようとしていたのはブレットではなくレックス・ルーガーだった。
この連載の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】
ビンス・マクマホン 世界征服と開拓のパラドックス――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第100話(最終話)>
ランディ・オートン 現在進行形のレジェンド――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第99話>
ジェフ・ジャレット “サザン・スタイル”最後の継承者――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第96話>
クリス・ジェリコ ロックンロール・レスラー――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第95話>
カート・アングル あっというまに“伝説の男”――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第94話>
この記者は、他にもこんな記事を書いています