PPV新企画“イン・ユア・ハウス”ブレットVS白使――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第189回(1995年)
いっぽう、ブレット対白使のシングルマッチは翌日の5.15“マンデーナイト・ロウ”ニューヨーク州ビンガムトン大会(5月15日、5月22日、5月29日の3週オンエア分の録画収録)、5.16“WWEスーパースターズ”コネティカット州ダンブリー大会(5月20日、5月27日、6月3日、6月10日の4週オンエア分の録画収録)、5.17“WWEレスリング・チャレンジ”(5月21日、5月28日、6月4日の3週オンエア分の録画収録)の3日間の集中TVテーピングでも実現。その後、5月下旬から6月にかけてはハウスショーの定番カードとしてこの試合が全米各地でラインアップされた。
毎週月曜夜の連続ドラマ“ロウ”はこの時代はまだ3週分タメ撮りの録画中継だったが、この年の9月、ライバル団体WCWがハルク・ホーガンを主人公に新番組“マンデー・ナイトロ”の全米生中継をスタートさせるとこの状況は一変する。
1月の“ロイヤルランブル”、4月の“レッスルマニア”、6月の“キング・オブ・ザ・リング”、8月の“サマースラム”、11月の“サバイバー・シリーズ”の5大イベントに加え、5・14シラキュース大会からスタートを切った新PPV企画“イン・ユア・ハウス”はこの年、6・23“イン・ユア・ハウス2”ナッシュビル、9・24“イン・ユア・ハウス3”サギノー、10・22“イン・ユア・ハウス4”ウィニペグ、12・17“イン・ユア・ハウス5”ハーシーと5大会がプロデュースされた。
PPVの拡大は、WWEという企業の経営基盤が昔ながらのハウスショーの興行収益からPPVによる視聴契約料へ移行したことを示唆していた。PPVの平均視聴契約世帯数が30万世帯だとすると、単純計算ではあるが、それはハウスショーに30万人の観客を動員したのと同じ収益になる。ビンス・マクマホンはプロレスの市場経済そのものを変えようとしていた。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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