更新日:2017年03月17日 23:50
カーライフ

ロードスターのオーナーが、S660やアルトを高評価した理由

マツダがまたまたやりました。SUVのCX-5コンパクトカーのデミオに続いて、スポーツカーのロードスターでも日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)に選ばれました。スポーツカーの受賞は、’10年のホンダCR-Z以来。リーマンショック以降、世の中、燃費重視な感じでしたが、ロードスターだけでなくホンダS660の登場など、ようやく運転の楽しさにも目を向けられる余力ができた証拠でしょうか? 第36回日本カー・オブ・ザ・イヤー ふり返ればまたマツダ。ロードスターがCOTYに輝く!西村直人=文 Text by Nishimura Naoto

第36回日本カー・オブ・ザ・イヤー ふり返ればまたマツダ。ロードスターがCOTYに輝く!

 今年の日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)はマツダ ロードスター。ホンダS660に41点差をつけ、見事COTYに輝いた。  第36回目となった今年のキーワードは“スポーツカー”と“軽自動車”で、ロードスターとS660の一騎討ち。両車は車格こそ違えども、いずれもCOTYにふさわしい総合力を持ち合わせていたため、60人の選考委員の評価は分かれた。しかしS660は、軽自動車として初めて400点を超えたものの、ロードスターには及ばなかった。
今年のCOTYはロードスター

マツダ ロードスター 約10年ぶりに登場した新型ロードスターは4代目。3代目も第26回(2005-2006)COTYを受賞している。同社の藤原清志・常務実行役員は、受賞のあいさつで「この大賞を誇りにし、決しておごることなく、自信にかえて、また一歩二歩と我々の志を形にしていきたい」と語った

 COTYの選考は、選考委員各人に25点の持ち点が与えられ、一次選考でノミネートされた10台(※下記参照)のなかから“今年の一台”と思うものに10点を投票し、残り15点を4台に配点する方式だ。  ちなみに私の配点は、S660/10点、アルト/7点、ロードスター/4点、シエンタ/2点、ジャガーXE/2点だった。
インポート・カー・オブ・ザ・イヤー

BMW 2シリーズアクティブ ツアラー/グラン ツアラー 【インポート・カー・オブ・ザ・イヤー】(輸入車の今年の一台)は、BWM初のミニバンとして登場した2シリーズが、ジャガー XEとの接戦を制した。BMWは’12年に3シリーズでも受賞している。BMWがミニバンを出し、それが受け入れられるのも世の流れ

 選考委員になって今年で6年目だが、私のCOTYの選考基準は一貫して、「パーソナルモビリティとしての素養があるか?」、「30年後の自分が安心してステアリングを握れるクルマ作りがなされているか?」の2つ。「パーソナルモビリティ~」の定義は、1人あたりの移動エネルギーが少ないこと。「30年後の自分~」とは、超高齢社会対策が講じられているかどうかということ。それらを踏まえたうえで、私は配点上位2台を軽自動車とした。  ロードスターは欧州や北米でも販売されるグローバルカーで、左ハンドル車もある。一方のS660は“ガラ軽”に例えられる軽自動車規格なので日本国内専売。こうした違いはあるにせよ、それぞれに、開発者たちが熱い想いを抱いて作り上げており、工業製品としての完成度はどちらも非常に高い。
イノベーション部門賞

【イノベーション部門賞】テスラのモデルS P85Dは、デュアルモーターの4WDで、巨大バッテリーを搭載するEV。カタログ上の航続距離は491㎞。自動ブレーキや前車追随型クルーズコントロールも搭載し、今後もソフトウェアのアップデートで機能を向上させられる点が評価された

 しかし私の考えでは、COTYは工業製品としての完成度、つまりデザインが優れていて、走行性能がスゴイといった尺度のほかに、ユーザーがそのクルマを購入した際に、どれだけメリットが得られるのか、という点も考慮されるべきではないかと考えている。  今回、私が軽自動車を上位にした理由は、S660は「パーソナルモビリティ~」という点で、アルトは「30年後の自分~」という点で、純粋にクルマとして高く評価しただけでなく、軽自動車をもっと日本の自動車文化として尊重すべきであるということを伝えたかった面もある。
スモールモビリティ部門賞

スズキ アルト/アルト ターボRS/アルト ラパン 【スモールモビリティ部門賞】は、軽自動車を対象に’13年に設定された部門賞。スズキ車が同賞を受賞するのは、’13年にスペーシア/スペーシアカスタムで受賞して以来2度目。アルト・シリーズは、国内累計販売台数が約558万台と、スズキの最多販売車種となっている

 欧州にはクルマ文化が根付いているといわれるが、日本にも守り続けてきた軽自動車文化がある。そのことを、スポーツカーとして誕生したS660と、新車販売の40%を支える元祖・軽のアルトは表しているといえるだろう。  ’13年には、輸入車として初めてVWゴルフがCOTYに輝いている。近い将来、軽自動車がCOTYに輝く日が来ると思っている。  とはいえ、私がロードスターを評価していないわけではない。なにしろ発表直後の今年5月、実際にロードスターをマツダのディーラーで購入しているわけだし(もちろん、普通のお客として)。  工業製品としてマツダのクルマが素晴らしいのは周知のとおりだが、ディーラーの対応も素晴らしかった。百戦錬磨の営業マンが揃うトヨタや、実行委員会特別賞を受賞したヤナセが得意とする“かゆいところに手が届く”というレベルではないものの、営業マンやサービススタッフの笑顔が絶えない接客には好感を抱いた。  最近のマツダは、大躍進のきっかけとなった「スカイアクティブ」を部分的に搭載したデミオで、’11年に実行委員会特別賞を手に入れたのを皮切りに、’12年はCX-5でCOTY、’13年はアテンザでエモーショナル部門賞、’14年はデミオでCOTY、そして今年はロードスターでCOTYと快進撃が続いている。  こうしたCOTYでの輝かしい受賞歴を信じてマツダ車を購入しても、ユーザーは十分メリットを享受できるだろう。 ●2015-2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー得点表 1位 ロードスター 442点 2位 S660 401点 3位 2シリーズ アクティブ ツアラー/グラン ツアラー 177点 4位 XE 149点 5位 モデルS P85D 110点 6位 アルト/アルト ターボRS/アルト ラパン 75点 7位 シエンタ 70点 8位 500X 51点 9位 レガシィ アウトバック/レガシィ B4 20点 10位 エクストレイル ハイブリッド 5点 (※エモーショナル部門賞は該当車なし) ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1009328
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