“あの男たち”がWCWマンデー・ナイトロ乱入――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第227回(1996年編)
ホールは“カーテンコール事件”から8日後、観客席からの“乱入”という形でライバル団体WCWのリングに出現した。“レーザー・ラモン”というリングネームとそのキャラクター設定はWWEが版権・知的所有権を保有する登録商標であるため、WCWはこれをそのまま使用することはできない。
キャラクター設定=知的所有権にはリングコスチュームの色とデザイン、グリースバックの髪形やスペイン語なまりのブロークン・イングリッシュ、つまようじを口にくわえる動作などもその範ちゅうと解釈されるため、ホールは上半身裸の上にデニムのベストというビジュアル的にさしさわりのないいでたちで“マンデー・ナイトロ”の画面に登場した。
“ナイトロ”の実況アナウンサーをつとめるエリック・ビショフWCW副社長は、ホールの突然の“乱入”を「WWEの侵略」と表現した。
ホールのデビューから2週間後、こんどは元ディーゼルことケビン・ナッシュが6.10“マンデー・ナイトロ”に初登場し、その翌週6.16PPV“グレート・アメリカン・バッシュ”ではナッシュがパワーボムでビショフ副社長を入場ランプ上から場外のフロアに投げ落とすというショッキングなシーンが映像に収められた。
ホールもナッシュもリングネームのない“あの男たち”として“マンデー・ナイトロ”の登場人物となったが、リモコンを手に“マンデーナイト・ロウ”と“マンデー・ナイトロ”のふたつの番組を同時に視聴しているファンにとっては、ふたりがWWEの“レーザー・ラモン”と“ディーゼル”であることはまぎれもない事実だった。
“WWEの侵略”というWCWサイドの連続ドラマのストーリーに敏感に反応したWWEは、6月20日付でWCWとターナー・グループを提訴した。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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