更新日:2022年08月14日 11:37
エンタメ

ユウキロック「王者でも売れないのは、お客さんの漫才を見る目が育ってきたから」

「若手芸人の解散ラッシュがくる」

芸人という生き方~ユウキロック『芸人迷子』発売記念 続いて、元相方だったケンドーコバヤシ(松口VS小林)をはじめ、中川家やたむらけんじ、陣内智則らNSC同期のエピソードも。そこで仕事を終えて駆けつけたもう一人の出演者、エレキコミックのやついいちろうが登壇した。  当時、NHK総合「爆笑オンエアバトル」の出場者としてしのぎを削っていたハリガネロックとエレキコミック。2002年の「第4回 爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」で優勝したのはハリガネロックだったが、芸人の世界は一筋縄にはいかないもの。“大会をうまく利用しなかった”エレキコミックと、漫才にこだわり続けたハリガネロック、彼らの明暗は大きく分かれていった――。  最近では、芸人になる人が増えても、40代以上のベテラン芸人や大御所がテレビで活躍し続けているため、若手芸人の活躍の場はなくなってきているという。ユウキロックは「3年か5年くらい経ったら、山のように若手芸人の解散ラッシュがくると思う。上が詰まっていて下もどんどん増えているから、吉本のルミネでも出番の数がもらえなくなってきている」と現状について明かした。

やついいちろうと語る「オンバトとM-1」の逆転現象

 また、当時の「爆笑オンエアバトル」と「M-1グランプリ」では、評価される芸人がまったく違っていたようだ。「爆笑オンエアバトル」で辛酸をなめていたブラックマヨネーズや笑い飯は「M-1グランプリ」で優勝し、今ではバラエティ番組の第一線で活躍している。 芸人という生き方~ユウキロック『芸人迷子』発売記念 やついは「本当に滑らない芸人がオンエアバトルでは優勝する。クセがある、M-1で評価された笑い飯やブラックマヨネーズはほとんど受かってない。これが難しい。オンバトで絶対的にウケたのは、お客さんが投票しやすい明るいネタ。それでずっと最下位で煮え湯を飲まされて、沈没していた大阪の漫才師の状況を見て、もしかしたら島田紳助さんが『これじゃアカンやろ』と思ったのかわからないけど、M-1になった途端、この評価が全部逆転した」と当時を振り返った。  ハリガネロックは、いずれの大会でも結果を残した稀有な漫才師だったのだ。  やついの指摘にユウキロックも「当時はいろんな矛盾で葛藤した。ちょっとお客さんにも怒っていた。なんで自分たちが面白いと思ったものを、人気がなくても支持し続けへんねや、っていう思いがあった。例えば、テレビで人気者になった芸人って、やっぱり集客できる。それって違うんじゃないかと思っていた。  オンバトではお客さんが支持した芸人が勝つ。それでも徐々に、お客さんの漫才を見る目が育ってきて、M-1王者やキングオブコント王者がなかなか日の目を見なくなってきたのは、お客さんに自分たちが決めた意識がないから、権威に振り向かなくなった。お客さんの個が育っている現状なのに、優勝したら売れなアカンもんやと期待されている。お客さんに訴えかけないと王者でも厳しい時代。審査員が決めているだけの王者を拒否することを覚えた」と同調していた。
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「売れる芸人」「売れない芸人」の違い
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芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

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