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霜降り明星、EXIT、ミキ、ゆりやん…第7世代は「お笑い」の何を変えるのか?

 2018年12月の深夜ラジオ。「M-1グランプリ」優勝直後の「霜降り明星」せいや君の口から放たれた「第7世代」というキーワード。彼自身は大きな意味もなく、「ボケ」的な感覚で言ったのかもしれない。  しかし、同年、「キングオブコント」を優勝した平成生まれの岡部君、秋山君を擁するトリオ「ハナコ」とともに、「M-1」を制した「霜降り明星」もまた初の平成生まれのチャンピオン。年を越せば「令和」という新時代がやってくることも相まって、時代が「第7世代」というキーワードを押し上げる形となった。  俺自身は「第○世代」という定義づけに対して興味がなく、それなりに明確な定義があるのは「第3世代」と「第7世代」だけであり、それもメディアが大きく育てた俗称に過ぎないと思っている。それをさも自分は見識があるかの如く、その間の芸歴の芸人を「第○世代」と押し込み、勝手な分類を披露している人間に嫌悪感を抱くが、せいや君が「第7世代」というキャッチーなワードで「区切った」ことの意義は大きい。区切ることでその他と一線を画し、ある種の切り捨てを行い、自分たちだけの領域があるという空気を作ったことに意味があるのだ。  現にこの4月から「第7世代」括りの新番組が始まり、世間は何かと「第7世代」と区切ろうとする。このことからも、これからは「第7世代」がメディアを席巻する……と書きたいが、当の本人たちにそこまでの気概は感じない。尖りきった前時代とは違い、「第7世代」は優しくて楽しい空気感に包まれている。

当初は「ゆりやん」と「ミキ」が世代を牽引

「第7世代」で最初に飛び出したのが「ゆりやんレトリィバァ」だった。彼女は吉本の芸人養成所「NSC」を首席で卒業し、2か月後には番組レギュラーを勝ち取るほどの実力者である。  元々芸人としてのポテンシャルが高く、大学時代に習得した「英会話」や「ダンス」などで面白いネタを量産していった。彼女の一番の魅力は「可愛らしさ」である。とにかく可愛くて憎めないのだ。芸人としての意識も「こだわり」も強い。そのためならば、露出が多くなることも厭わない。こだわりの強さゆえ、現場を微妙な空気にしてしまうこともある。しかし、現場は彼女をほっておかないのだ。彼女自身が持っている可愛らしさが、そうさせているのだと感じる。  その後、「ミキ」が頭角を表した。結成5年にして2017年の「M-1グランプリ」で3位に入り、その翌年も決勝進出している兄弟コンビである。あまりに早熟だったためか、2017年にスタートし、結果的に「第7世代」を括る礎となった番組「新しい波24」のメンバーには、この世代の代表格であったにもかかわらず、選出されていない。若手離れしたテクニックを持つコンビだ。 「ミキ」の漫才は、彼ら自身が標榜するように誰も傷つけない笑いを披露する。兄弟ならではスピードあるテンポで観客を魅了。「ミキ」は無駄を極限まで削ぎ落とし、「ミキ家の茶の間」を芸に昇華させた。観客は「ミキ」の「兄弟ケンカ」をいつも微笑ましく見守っている。  2018年、「キングオブコント」のチャンピオンに輝いたのが「ハナコ」である。彼らのネタを初めてみたのは前出の「新しい波24」で披露した「爆弾処理班」というネタだった。大爆笑した。秋山君は「このネタをきっかけに『ハナコ』らしさが固まってきた」と語り、岡部君も「今の『ハナコ』の形になった」と振り返る。  ネタの設定、演技力も素晴らしいが、「ハナコ」の魅力は岡部君、秋山君の「顔」である。ボケたときの岡部君の「顔芸」、何か言いたげな秋山君の「表情」。この部分を生かせる設定のチョイスが素晴らしい。 「キングオブコント」優勝後は、「ハナコ」第3の男である菊田君のキャラクターが浸透した。「ハナコ」のネタは岡部君と秋山君の絡みがほとんどだ。しかし、観ている側は「ハナコ」がトリオだということは知っている。だから、後半に向けて菊田君は「どういう役どころで登場するのか?」という楽しみも増えた。「ハナコ」の笑いの本質とは異なる部分だが、俺は知ってしまったし、楽しみにしているのだから仕方がない。そんな菊田君も味わい深い男である。
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世代の代表格に上り詰めた「霜降り明星」と「EXIT」
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