ブレットがWWE世界王座奪回@“サマースラム”――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第263回(1997年編)
タイトルマッチのゆくえを決定づけた“数秒間”は、レフェリーのショーンがブレットからイスを取り上げたワンシーンだった。ブレットはショーンの実力行使にブチ切れ、ショーンの顔にツバを吐きかけた。これに怒ったショーンは手にしていたイスでブレットに襲いかかったが、ブレットがこれをよけたためフルスイングのイス攻撃は運悪くアンダーテイカーの脳天を直撃した。
ブレットは完全ノックアウト状態のアンダーテイカーをそのままカバー。レフェリーのショーンはやや戸惑いながらも、やむなくキャンバスを3回たたいて試合終了のゴングを要請した。
ブレットは2.17“ロウ”ナッシュビル大会でサイコ・セッドに敗れ王座を失って以来、約半年ぶりにベルトを奪回。WWE世界王座通算5回獲得は、この時点ではハルク・ホーガンと並ぶ記録だった。
この“サマースラム”での王座奪回シーンから11.9“サバイバー・シリーズ”モントリオール大会までの3カ月間にわたるディープなドラマは、ブレットにとってはWWEにおける最後の“主演作品”となる。
次回PPV、9.7“イン・ユア・ハウス17/グラウンド・ゼロ”ルイビル大会のメインイベントは、ブレットが“新顔”ザ・パトリオット(デル・ウィルキス)を挑戦者に迎えるWWE世界戦とアンダーテイカー対ショーンのシングルマッチのダブル・フィーチャー。
“レッスルマニア25”(2009年4月5日=テキサス州ヒューストン、リライアント・スタジアム)、“レッスルマニア26”(2010年3月28日=アリゾナ州グレンデール、ユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアム)と2年連続で“祭典”の目玉カードとしてラインナップされることになるアンダーテイカーとショーンの因縁ドラマのプロローグもまた、じつはこの時代からすでにスタートしていたのだった。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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