更新日:2022年08月25日 10:11
スポーツ

明徳義塾で懲役6年!? 元高校球児・関本大介がトップレスラーになるまで【最強レスラー数珠つなぎvol.9】

――関本選手と言えば、鋼のような肉体です。どうしてそこまで鍛え上げているのですか。 関本:ただ筋トレが好きなだけです。筋肉に血流が流れ込む感覚が好きなんでしょうね。そこに快楽を覚えている。ただの変態です(笑)。筋トレをしている人はみんな同じだと思うんですけど、筋肉を育てたいと常に思っているので、どんどんデカくなりたいですね。 ――ジャーマン・スープレックスへのこだわりが強く、「ジャーマンをかけたまま死にたい」とおっしゃっていたとか。 関本:それくらいの気持ちで投げています。山川(竜司)さんという人がプロレスを最初に教えてくれたんですが、技を褒められたことがなくて。でもジャーマンをやったときに初めて褒められたんですよ。そのときからずっと使っています。 ――関本選手のジャーマンを見ると、いろいろなものを背負っているように感じます。関本選手が背負っているものとは、なんでしょうか。 関本:生活です(笑)。……いやいや、“思い”ですかね。ファンの人も含め、自分も含め。これで勝負を決めてやるっていう思いだったり。団体に対しても、常にいいプロレスをして、大日本プロレスの向上に繋がればいいなと思いながらやっています。 ――今年2月、1か月間休養されたのは、肉体のメンテナンスが目的とのことでした。ご自身では、疲労などは感じていましたか。 関本:自分では感じていなかったです。仲間が頑張って試合をしていると思うと、休みたくはなかった部分もありました。 ――休養中も、トレーニングをされていたとか。 関本:それはただ、筋トレが趣味なので(笑)。 ――7月には、イギリスXWAへの参戦が決まっています。海外での試合はいかがですか。 関本:これまでに、ドイツ、フランス、アメリカ東海岸に行ったことがあります。日本人を応援してくれる空気なので、よそ者の感じはなかったですね。海外で試合をするときは大日本プロレスを代表して行くので、それに恥じないような試合をしたいと思っています。今度の試合もそうですね。 ――今後の目標は? 関本:大日本プロレスを大きくしていくことです。自分がいま出来ることをやっていくしかないと思ってはいるんですけど、自分が出来ることってなんだろうと考えると……まだ定まっていない。まずはそこをしっかり定めて、少しでも団体の力になれればいいなと思います。 ――この連載では「強さとはなにか」を探っているのですが、強さとはなんだと思われますか。 関本:なんでしょう……折れない心、でしょうか。 ――折れそうになること、ありますか。 関本:毎日、バキバキに折れてます。腕立て伏せを20回しようか30回しようかと思ったときに、20回を選んじゃいますし。コカコーラ・ゼロを買おうか、普通のコカコーラを買おうか迷ったときに、美味しい普通のコーラを選んでしまう(笑)。自分に甘えてるなと思います。折れない心を持ちたいんですけど、そういうことばっかり考えていると生きているのがしんどくなるので、”Take it easy.”で。 ――では、次の最強レスラーを指名していただけますか。 関本:岡林裕二選手を。彼はすべてが最強です。見た目もそうですし、生きている姿を見ているだけで最強。道場でウエイトトレーニングとか一緒にするんですけど、扱う重量が全然違うんですよ。僕より20~30kg重いのを持ち上げたりします。プロレスも、あり得ないところから相手選手を持ち上げたり、ホント漫画みたいな感じですね。 ――ありがとうございました。  ライターの仕事だけで生活するのが苦しい私は、工場でアルバイトをしている。いい大学を出て、いい会社に就職し、でもライターになる夢を諦めきれず、この世界に飛び込んだ。しかし待っていたのは、食べることすら儘ならない現実だった。  工場で一日中、プラスチック製品を段ボール箱に詰めながら、考えている。頑張れば、今月はプロレスの試合を1回観に行ける。もう少し頑張れば、2回観に行けるかもしれない――。  強いレスラーが好きだ。私の弱さをすべてかき消してくれる強いレスラーが。関本大介のジャーマンを見ると、涙が溢れてくる。ああ、この人は、私の分まで、こんなに強い。  インタビュー中の関本は、リング上での雄々しさを微塵も感じさせなかった。穏やかに、ゆっくりと、一つ一つの言葉を噛みしめながら話す。饒舌で、巧みな言葉を持っているレスラーとは違うかもしれない。しかしだからこそ、この人のことをもっと知りたいと思った。「もっと知りたくなる」――プロレスラーにとって、大切なことだと思う。  『週刊プロレス』のような記事を書かなければいけないと、ずっと思っていた。しかし関本大介というレスラーをもっと知りたい、また話を聞きたい、そして記事を書きたい。そういう思いが膨れ上がって、ポンと弾けた。私は私なりの記事を書けばいい。私にしか書けないものが、きっといつか見つかる。『週刊プロレス』は、この世に2冊はいらない。  私も、強くなりたい。 【PROFILE】関本大介(せきもとだいすけ) 大日本プロレス所属。1981年2月9日、大阪府大阪市鶴見区生まれ。中学高校と明徳義塾に通い、野球部に所属。高校卒業後、大日本プロレスに入団。1999年8月10日、対伊東竜二戦でデビュー。デスマッチデビュー戦は、対マッドマン・ポンド「蛍光灯100本デスマッチ」。ストロングBJの象徴として、大日本プロレスのみならず、全日本プロレス、DDTプロレスリングなど、他団体でも活躍している。175cm、120kg。Twitter:@sekimotodaisuke <取材・文/尾崎ムギ子 撮影/安井信介>
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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■大日本プロレス・後楽園ホール大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1401

【開催日】2017年4月28日(金)
【開場時間】17時30分
【開始時間】18時30分
【会場】後楽園ホール

■「~Endless Survivor~」横浜文化体育館大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1402

【開催日】2017年5月5日(金)
【開場時間】14時15分
【開始時間】15時00分
【会場】横浜文化体育館大会
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