更新日:2022年08月28日 09:27
スポーツ

「ストロングBJと新日本のストロングスタイルは別物」大日本プロレス・岡林裕二の野望【最強レスラー数珠つなぎvol.10】

――関本選手はどういう存在ですか。 岡林:いまはもう、ライバルって言ったらどうなんだろうな。越えたいですね。実は僕、中学校のときから関本さんのことを知ってたんですよ。関本さんは明徳義塾出身で、僕の友だちに明徳の奴がいたんです。明徳って全寮制なんですけど、週末になったら寮を抜け出してきて一緒に遊んだりしていて。そいつから、「先輩にすごい人おるぞ。関本さんって言って、たぶんお前より力あるぞ」と聞いて、悔しかったのを覚えています。関本さんは明徳でも有名だったんですよ。飯をめちゃめちゃ食べて、力がめちゃめちゃあるっていう。野球で有名なわけじゃなく(笑)。そのときからずっと意識していましたね。 岡林:中学に入って、一時期プロレスを観なくなったんですけど、関本さんが高3のときニュースになったんです。明徳義塾の野球部からプロレスラーになる少年がいると。それで、あの人プロレスラーになるんや、すごいなあと思って。それを見て「俺もレスラーになろう」とは思わなかったですけど。僕は高校を卒業して自衛隊に入ったんですが、ちょこちょこ『週刊プロレス』を見てました。関本さんが気になって。出てないかなあ、やっぱり出てないか。あ、今日は小さい記事に試合結果が出てた。まだ頑張ってるんや、この人は、と。気になってたんですよね、ずっと。 ――自分もプロレスラーになりたいと思った? 岡林:そのときはまだ思っていなかったです。自衛隊では体育学校でウエイトリフティングをやってたんですけど、6年間やってオリンピックに行けないと、体育学校から普通の部隊に戻されるんです。記録が伸びなくなって「岡林そろそろ部隊に戻れ」と言われて何週間か経ったとき、『週刊プロレス』を開いたら関本さんが一面で出てたんですよ。わあ、すごいなあ、と思って。ウエイトリフティングが終わった、このまま自衛隊を続けるのもあれやから、ちょっとプロレスやってみたいな、俺も目指してみようかなと。そのときは負けたくないというより、挑戦してみようという気持ちでした。 ――体育学校以外に、部隊も経験しているんですね。 岡林:自衛隊に入ったら、すぐ体育学校に行けると思ってたんですよ。体育学校に入って、すぐウエイトリフティングができると。けど、半年間、一般自衛官になるための教育を受けないといけないということで、普通の部隊に入りました。朝6時に起床のラッパが鳴って、5分以内に着替えて、寝泊まりしている建物の前に整列。それが出来ないと、また服を脱いで、ベッドの中からやり直し。それが出来るまでずっとやるんです。 岡林:そういう訓練がいろいろあって、夕食とお風呂を合わせて10分以内とか。おかずを全部ご飯の上に乗せるんですよ。飯に5分かけると風呂に入る時間がなくなるので、飯を3分。全部食いきれない状態で流して、風呂まで走っていって。石けんで全部バーッと洗って、バッシャーンで終わりです(笑)。山で30kg背負って25km歩く訓練もやりましたし、それを半年間やって、そこからいろんな職種に分かれるんです。戦車だったり、歩兵だったり。僕は体育学校にいったんですけど、他のみんなは一般自衛官になりました。 ――なぜ自衛隊に入ろうと思ったんですか。 岡林:高校でウエイトリフティングをやっていて、推薦で大学は決まってたんですけど。自衛隊の勧誘みたいな人が家に来て、「大学はお金を払って行くけど、お金をもらいながら競技ができますよ」と言われたんです。即決ですよ。大学の推薦を蹴って、行きますと。体育学校はオリンピックを目指す機関なので、どうせやるんなら行けるところまでやってみようということで、オリンピックを目指していました。 ――大日本プロレスに入団したのはなぜですか。 岡林:自衛隊がそのとき埼玉にあって、テレビ埼玉で大日本プロレスを放送してたんです。0時くらいから。たまたま観たのが、「関本大介vsマンモス佐々木」のシングルマッチでした。その戦いが本当にすごくて。一気に惹きつけられたというか。小学校のときに初めてプロレスを見たときの衝撃が蘇ってきたんです。子供の頃は「すごいな」でしたけど、今度は「俺もやってみたいな」という気持ちになったんですよね。 ――大日本に入ったら、デスマッチをやることになりますよね? 岡林:知らなかったんですよ。そのときテレビで放送してたのはその試合だけだったので。デスマッチがあるって知ったのは、入団してからです。僕が入ったときはもう、ストロングBJとデスマッチBJに分かれていました。最侠タッグリーグの決勝戦でストロングとデスマッチが当たるとき、ハードコア形式になるんですけど。ちょうど自分と関本さんが組んだときは、相手が045邪猿気違’s(※“黒天使”沼澤邪鬼、葛西純)でした。デスマッチはいままで3回やりましたが、タイトルマッチとかでもし相手がデスマッチの選手だったら、いまでもやってもいいと思ってます。毎回はやりたくないですけどね(笑)。 ――ストロングにこだわっているわけではない? 岡林:せっかく2つに分かれているので、ストロングBJを高い位置まで持っていきたいという気持ちはありますね。 ――ストロングBJと、いわゆる新日本プロレスのストロングスタイルは違いますか。 岡林:ストロングBJをストロングスタイルと言う人もいますけど、僕は一緒にしたくないというか。まったく別物ですよ、ストロングBJはこういうスタイルですよ、というのを見せていきたいです。 ――ストロングBJとはどういうものでしょうか。 岡林:それがまだ見つかっていない。みんなでストロングBJというものを作り上げている途中です。いま大日本プロレスは、若い力がすごいんです。やっぱり、若手が負けたくないという気持ちが強くならないと、上には行けないと思うんですよね。僕たちがいくら頑張っても、下が「絶対、負けるか」という気持ちでこないと、上には行けない。下の勢いでは、新日本プロレスにも負けていないと思います。
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57年生まれは妙な結束力がある
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尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko

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■大日本プロレス・後楽園ホール大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1403

【開催日】2017年5月25日(木)
【開場時間】17時30分
【開始時間】18時30分
【会場】後楽園ホール

■「両極譚~RYOGOKUTAN~」両国国技館大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1332

【開催日】2017年7月17日(月)
【開場時間】13時30分
【開始時間】15時00分
【会場】両国国技館
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