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「ストロングBJと新日本のストロングスタイルは別物」大日本プロレス・岡林裕二の野望【最強レスラー数珠つなぎvol.10】

――今後の目標は? 岡林:大日本プロレスをもっともっと、いろんな人に知っていただきたいです。若い力がどんどんきているので、自分がいろんな面でレベルを上げていきたい。そうすればみんなも、「岡林さんに負けたくない」という気持ちでくると思うので。あとは試合以外の部分ですよね。営業だったり物販だったり、そういうプロレス以外の部分でも、自分たちが見本になって頑張っていく。みんなでやっていかないとダメだと思うので。一人じゃ絶対ダメですね。 ――この連載では「強さとはなにか」を探っているのですが、強さとはなんだと思われますか。 岡林:負けたくない気持ちじゃないですかね。あの人より強くなりたい、負けたくないという気持ちがあったから、自分は強くなれたと思います。 ――プロレスの強さと、人間としての強さはリンクしていると思いますか。 岡林:自分の場合はしていると思います。自衛隊で体育学校にいて、部隊も経験しましたけど、そこで体力的にも気持ちも全部、強くなったなという気はしました。あそこであんなにキツいことをやってきたんだから、どこに行ってもやっていけるぞと。自衛隊に入って本当に良かったです。ちょっとやそっとじゃへこたれないし、精神力も鍛えられましたし。走るとかウエイトトレーニングとか、そういう部分だけじゃなくて、忍耐力がつきました。 ――では、次の最強レスラーを指名していただけますか。 岡林:ドラゴンゲートの鷹木信悟選手を。4年くらい先輩なんですけど、ドラゴンゲートを引っ張っていっているイメージです。僕の中では。5月5日もタイトルに挑戦したじゃないですか。メンタルの部分で、めちゃめちゃ強い人なんじゃないかなと思います。 ――ありがとうございました。  取材をすると、その人を熱烈に好きになる。恋をすると言ってもいい。岡林もそうだし、鈴木秀樹もそうだ。5月5日、大日本プロレス横浜文化体育館大会の前夜、「明日どちらかが負ける」と思ったら涙が出た。どちらが負ける姿も見たくはない。ベルトを半分に割ってほしい……。  翌日、鈴木秀樹はベルトを防衛した。岡林は負けてしまった。結果を見ればそれだけのことだが、過程はもっと複雑だ。岡林のパワーファイトに、鈴木が押される場面が何度もあった。鈴木のレスリングの巧さに観客は魅了された。佐藤光留は「プロレスラーは勝敗にこだわるべき」と言ったが、果たしてそうなのだろうか。プロレスは、試合内容がすべてなのではないか。これほどの名勝負を見たあとには、そんなことを考える。  強さとは、なんだろう。毎日毎日、自問自答を繰り返していると、迷路に迷い込んでしまう。強さとはなにか、追求する意味があるのだろうか。プロレスラーは皆、それぞれに強い。それでいいのではないだろうか。グルグルと考え、分からなくなる。  これまでに10人の最強レスラーを取材し、記事を書いた。その度に私は恋をした。この連載を始めて得たものと言えば、強さとはなにかの答えではなく、10の恋心だった。この先、なにかが見えてくるのか、分からない。いまはただ、11番目の恋をするのを待つしかないのだろう。 【PROFILE】岡林裕二(おかばやしゆうじ) 大日本プロレス所属。’82年10月31日、高知県南国市下末松生まれ。小学校のとき相撲、中学校のとき柔道、高校ではウエイトリフティングに打ち込む。高校卒業後、陸上自衛隊に入隊。体育学校でウエイトリフティングのオリンピック選手を目指すも、6年間成績が振るわず、部隊への配属を言い渡される。そんなとき関本大介の活躍を見て、プロレスラーを志す。2008年6月27日、大日本プロレスでデビュー。2015年、BJW認定世界ストロングヘビー級王座を奪還し、プロレス大賞・敢闘賞を受賞。現在、関本とBJW認定タッグ王者のベルトを防衛中。178cm、115kg。Twitter:@bjw_pissari <取材・文/尾崎ムギ子>
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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■大日本プロレス・後楽園ホール大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1403

【開催日】2017年5月25日(木)
【開場時間】17時30分
【開始時間】18時30分
【会場】後楽園ホール

■「両極譚~RYOGOKUTAN~」両国国技館大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1332

【開催日】2017年7月17日(月)
【開場時間】13時30分
【開始時間】15時00分
【会場】両国国技館
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