SNSの発達が生み出した新型「狂わせガール」とは?――男が勝手にドツボにハマるワケ
一ミリも気のない男性に対しても、処世術として相手が望む受け答えをしてしまい、結果勘違いを巻き起こす過剰反応型。映像配信会社に務める上田巧さん(仮名・38歳)の職場にも過剰適応型狂わせガールが一人いる。
「職場の上戸彩似の女性社員が、喘息持ちでちょっと病弱なんですよ。それでもいつも笑顔を絶やさずにがんばっていて、一人残業までして仕事をこなす健気さに、部署中の男が惹かれてしまって……」
部署内で3人の男が彼女の虜になり、サービス残業をしてまでサポート役を勝手出る事態に。彼女には残業代が付くが、男はあくまでサービス残業なので残業代はつかない。彼女が『さすがに悪いよ』と謝ると、『俺と君の仲じゃんか!』と彼氏ヅラ。
確かに喘息持ちではあるが、女友達の間ではさっぱりしたキャラで知られ、そんなにか弱い女子ではないという彼女。
『おまえは俺がいないとダメなんだよ』とか、頭をポンポン叩いてきたりとか、守ってあげなきゃいけないキャラと思いこまれるのは違和感を持ったようだが、断るのもめんどくさいので、なんとなく相手の望むキャラクターを演じ、時にはSNSで「気圧のせいで今日はちょっと体が重いみたい」など体調不良をアピールしたりもしていたという。体調不良が免罪符になるのか、男たちはデートを断られても怒らず、健気に彼女を支え続けたという。しかし、あるとき事件が起こる。
「彼女が入院することになったんですが、貯金がなく、入院費を払うと家賃が支払えないと困ってたんです。男の一人が『俺が支払うよ』と申し出たんですが……。毎日のように御見舞いに行ってたら貧乏バンドマンだという彼氏と遭遇。男は騙されたとと激怒したんですが、彼女は『あの、付き合ったとは言ってないよね……』と言われ、結局男が引き下がったそうです。あとで聞いたら、『小さいころからの喘息ゆえに、なるべく物事を早く済ませるために愛想のいい相槌を打つ能力が異常進化して、周りの人が勘違いしてしまうことがある』と話していたそうです」
男としては「俺がいないとダメ」「守ってやらなきゃ」と思っていても、女からしてみれば「単なる勘違い」。入院費まで払ってもらってひどい言いぐさな気もするが、自分の理想像を相手に押し付けて舞い上がっている男のほうにも問題はあるということか。
【大室正志氏】
これまで50社以上の産業医を務める。プライベートでも人間観察癖は抜けず、女性の恋愛心理にも詳しい。『産業医が見る過労自殺企業の内側』(集英社)発売中
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