更新日:2022年09月25日 10:50
デジタル

ピュアオーディオファンとDJが歓喜した伝説の名機SL-1200復活の軌跡

最新技術が盛り込まれた新生SL-1200

「愛用してくれている方がたくさんいたので、休止が決まったときは申し訳ない気持ちでいっぱいでした」と、当時を振り返る上松氏。
上松氏

上松氏

「いつか復活させたい」という氏の願いは、2014年に成就する。「その年の4月に、社内でSL-テクニクスブランドをリスタートさせると発表されました。休止期間は約5年くらいでしたが、ともに歩んできた身としては、もっと大きなブランクがあったと感じます」  こうして、スタッフとファンが待望したSL-1200シリーズ復活プロジェクトは動きだした。 「SL-1200は、もともとピュアオーディオとして開発しています。そこで、オーディオマニアの方たちが、満足していただける音質と品質に徹底的にこだわろうと決めました。昔の図面をもとに、復刻版を開発する選択肢もありましたが、新しいTechnicsの商品としてアピールするなら、この機会に一から作り直したほうがいいだろうと考えました」  多くのファンが慣れ親しんだ外見はそのままに、筐体の中には新開発したコアレス・ダイレクトドライブ・モーターや、ブルーレイディスクの制御技術など、最新のテクノロジーが惜しみなく盛り込まれた。こうして新商品の開発は進み、2016年6月にTechnics50周年を記念した「Grand Class SL-1200GAE」が限定モデルとして登場。同年9月には一般モデルのSL-1200G、さらに翌年5月には新たなスタンダードモデル「SL-1200GR」を発売した。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1365281
SL-1200GR

「SL-1200G」の開発で始まった取り組みと成果を継承し、2017年5月に生み出されたシリーズの新たなスタンダードモデル「SL-1200GR」。部品を見直すことで、音質やクオリティを極力落とすことなく、低価格化を実現した

「SL-1200Gは素材にもこだわったので、33万円という価格になってしまいましたが、実際に音を聞いたお客様には納得していただくことができました。限定モデルは、1200台のうち300台を国内で販売しましたが、予約開始から30分で完売しています」
SL-1200G

Technicsが新たなチャレンジとして、2016年に復活させた「SL-1200G」。33万円と高価だが、翌年には安価なモデルの「SL-1200GR」が登場

 価格を抑えたSL-1200GRの予約も好調で、上松氏たちの予想を超える注文がきているそうだ。 「ノイズ対策の技術が進歩し、前のモデルと比べてノイズが圧倒的に少なくなっています。古いレコードをお持ちの方は、その違いをぜひ体感してみてください」  SL-1200がどのように新生したのか。諸兄の青春時代を彩った名曲で、試してみてほしい。
テクニクスサウンドトレーラー

リスニングルームでは最高級の音響システムを体験可能。パナソニックは体験会にも力を入れており、移動式の試聴ルーム「Technics Sound Trailer」(テクニクスサウンドトレーラー)で全国各地を巡る施策も実施中

<SL-1200GR> ■希望小売価格:14万8000円(税別)■全国のオーディオ販売店で販売中■電源:AC100V50/60Hz■消費電力:11W/電源オフ時0.2W■幅×高さ×奥行き:453×173×372mm■質量:約11.5kg■カラー:シルバー■出力端子:PHONO端子×1、PHONOアース端子×1 SL-1200GR取材・文/黒田知道 撮影/岡戸雅樹 写真/パナソニック
1
2
3
80's青春男大百科

マイケル富岡、向谷実ほか80年代を象徴する人物たちの貴重な証言。さらにはカルチャー、アイテム、ガジェットで、世の中がバブル景気に突入する直前のあの時代を振り返る!

おすすめ記事