米米CLUB 再始動「今さら人気があろうがなかろうが関係ない」
米米CLUBが“ヤバい存在”に戻ろうとしている。「君がいるだけで」「浪漫飛行」などのヒット曲の印象が強い彼らだが、メジャーなバンドになる以前、’80年代の米米CLUBは冗談と狂気の間に境界線がない、笑いにまぶしてすべてのボーダーラインを踏み越えていく危険極まりないパフォーマー集団だった。今月には「最後のベスト盤」だと公言する『LAST BEST~豊作参舞~』をリリースし、9月からは4年半ぶりの全国ツアーを行う彼ら。原点に立ち返ろうとしている理由を、カールスモーキー石井と、ベーシストでありリーダーのBONに聞いた。
――『LAST BEST』と銘打つと、退路を断つというか、これで終わりだと思われるのでは?
石井:いやぁ、それはやっぱり売れるからさ、そのほうが。だから『LAST BEST2』とか出すかもしれないよね(笑)。
BON:『真実のLAST BEST』とかね。
――つまり、本当に最後なのかは本人たちにもわからないと(笑)。
石井:まあね、米米のことなんでそんなに重要に考えていただかなくても大丈夫です。「LAST」ってつけると貴重なような気がしちゃって、みなさん思わず手を伸ばしちゃうんじゃないかってだけなんでね。売れないよりはいいわけだし。
――4年半ぶりにツアーを行いますが「米米CLUBが今年は動くか動かないか」というのは、どういうふうに決めるんですか?
石井:まあ、気持ちですかね。みんなの気持ちが一番大事だと思っているので。米米CLUBって強制されてやるバンドではないし。みんなが面白がれる、自分たちでもビックリするようなことが好きなバンドだから。でも、1万人規模のコンサートとかやってると、それを忘れちゃうんですよね。ある意味、「これは伝わるかわからないけど、伝わらなくてもいいや」みたいな、野蛮で過激なことが米米CLUBの真骨頂だったのに、それが「君がいるだけで」の大ヒットがあったりして、しっくりこないまま大きなコンサートを続けていた。
――97年に一度解散したのは、そういった理由もあったんですね。
石井:ただ、再結成したあとでも、そのまま解散前の感じが続いていたんですよね。大きな会場をスタッフが用意してくれたんで、そこであんまり期待を外すこともできなかったし。それで数年やったはいいんだけど、「これ、なんか違ってるかもな」って。
――じゃあ、今回のツアーまで4年半あいたというのは、休んでどうしようか考えていたわけですか?
石井:うん、「このままやっていても意味あるのかな」って思ったから。だって、やるなら自分たちが納得のいくものをやるべきだし、今さら人気があろうがなかろうが関係ないしね。そんなことよりも、「自分たちが面白いと思って腹抱えて笑っちゃうことをやりたい」っていう気持ちに駆られたんですよ。
BON:そもそも、デビューした時点で売れると思ってなかったしね。
石井:そう。最初の頃なんてパンクバンドとか芸人の集まりって言われてたわけだしさ。「みんなに愛される米米CLUBをやるんだ」みたいなことは自分らも求めてなかったから。
※このインタビューは8/8発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【米米CLUB】
’82年結成、’85年にデビュー。「浪漫飛行」「君がいるだけで」「愛はふしぎさ」など数々のヒット曲を生み、高い人気を誇るも’97年に解散。’06年に再結成を果たして以降、不定期活動中。’17年のベストアルバムのリリースと全国ツアーは4年半ぶりのアクションになる
取材・文/兵庫慎司 撮影/増田岳二

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