「私の客を離さないで!」カズオ・イシグロ風にキャバクラを書いてみた【コラムニスト木村和久】
さて、この高級店のカッパ巻き的営業をどう解決しましょうか。
面白いので、暇つぶしにLINEメールを鬼のようにしました。しかも、最近知り合った数人のキャバ嬢と同時進行で行ったのです。
昔は「このお客さん、なんぼ誘っても店に来ないから切っちゃおう」と音信不通になるのですだが、今はどうやらノリが違うようです。何がどう違うのかというと、
①LINEの日常性
若いコは毎日たくさんの人とLINEでやり取りをしているから、オヤジ客の数人の相手なんて朝飯前。結果を求めずとも、つい惰性でメールをしてしまう。それだけLINE中毒になっているんですな。
②写真がイメージを膨らませる
店に行ったとき、暗くて顔を覚えてないというと「奇跡の1枚」的な目のデカい写真を送ってきます。写メ慣れしているから、写真のやり取りが当たり前です。一人インスタ状態ゆえ、調子こいて「水着の写真ないの~」なんて入れても、「この前、ハワイに行ったときの」なんて書いて、躊躇なく送ってくる。ほんと、ありがたや~です。
③VR感が半端ない
こうやってテキストとビジュアルのやり取りが多くなると、別にキャバクラに行かなくても、そこそこ楽しいじゃないですか。VRキャバクラっていうのでしょうか。なんかすでに行った気がして、客側としては大満足です。
④使えるオヤジ客に簡単にランクアップ可能
結局、たまに「今週、金曜出るけど、良かったら」なんてやり取りをするけど、その前に「黒革の手帖見た?」「見たよ、前作の米倉涼子のも見てるよ」「面白いねえ、昔とどこが違うの?」などと、延々やりとりすると、結構使えるオヤジ的存在になり、ラインの客の中でランクがちょっとアップするのでした。
以前は「ウザ客」あるいは「細客」という括りでしたが、今は「使える客」の仲間入りですか?
現在の話題は映画「ブレードランナー2049」。これですな。実は試写で見てて、感想を聞きたがるコが多いです。一応「非常に面白いけど、1作目は前もって見た方がいい。映画は長いので、予告編を入れて3時間だから、トイレは先に行ってて途中ドリンクは飲まない方がいい」と言っておくと、重宝がられます。
とは言ってもね、キャバ嬢がブレードランナーの原作、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の世界観をどれだけ理解して頂けるかは未知数です。40歳以上のオヤジが熱烈に支持の映画らしいです。
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
とりあえずキャバ嬢の方々には「キャバクラ嬢は、電動マッサージ機の夢を見るか?」あたりから始めてもらいましょうかって、どんな夢なんだよ~。
■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦1
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