青森県・津軽地方は道路沿いに持ち帰り専門のホルモン屋が点在する――ちょっとディープなメシ文化を追う
青森には様々な郷土料理がある。八戸ラーメン、せんべい汁、十和田バラ焼き。大間のマグロやサバ、ホタテなどの海産物もうまい。だが、それだけではなく、知る人ぞ知るメシ文化まで堪能してみれば、青森の新たな一面が見えてくるかもしれない。
津軽地方には、独自のメシ文化が形成されているらしい。今回は、元バックパッカーの記者が実際に現地まで赴き、調査してみた。
関西をはじめ、全国各地にはホルモン文化が根付く場所がある。りんご栽培が盛んな津軽地方にも独特なホルモン文化が形成されていることをご存じだろうか。弘前の市街地を取り囲むようにりんご園があり、その道路沿いに持ち帰り専門のホルモン店が立ち並んでいるのだという。
●ホルモンあっと
街の中心部からは少し離れた道路沿いに佇む「ホルモンあっと」。津軽のホルモン文化は持ち帰りが基本となる。だが、ここでは店の奥に座敷があり、その場で焼いて食べることもできる。そもそも津軽のホルモン文化とはどのようなものなのだろうか。店主の新谷昭寿さんに話を聞いた。
「ホルモンは普通の焼き肉に比べて安くてうまい。津軽の人たちは、運動会や行事があるときは、ガレージや車庫、庭とかにみんなで集まってホルモンを食べていました。また、会合や農作業(苗代や田植え)を終えたときにもごちそうとしてホルモンが出されました。私たちにとっては当たり前すぎて意識したこともなかったです。昔は、ホルモン屋の横にトラックが何十台も行列を作って順番待ちしていたほどでした」
ホルモンの味付けはみそとニンニクが基本。だが、それぞれでアレンジしたり「どこかラーメン屋と似ているかもしれない」と新谷さんは言う。
「ホルモンは内臓なのでニオイとの戦い。きれいに処理していないとニオイが残る。味付けでごまかすこともできますが、うちは塩でも食べられますよ」
新谷さんは、約7年間と殺場で働いていたが、脱サラしてホルモン店を開いた。その経験が活かされているのだ。
りんごの品種「ふじ」の発祥地でもある藤崎町。津軽地方にホルモンが根付いた背景としては、戦後に関西までりんごを運んだ移出商が関係していると推測されている。なかには、看板すらないプレハブの店や電話番号もなくタウンページにも載っていないホルモン店も数多く存在しているらしい。
津軽のホルモン文化は、未知の部分も多い。しかし、人々が物心ついた頃からホルモンに慣れ親しんできたことは確かなのである。
道路沿いに持ち帰り専門のホルモン屋が点在!?
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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【ホルモンあっと】
住所:青森県南津軽郡藤崎町大字中野目字葛巻15-2
電話番号:0172-75-5755
ホルモン(ミックス)100円/100g、サガリ160円/100g
【道の駅つるた 鶴の里あるじゃ】
住所:青森県北津軽郡鶴田町大字境字里見176-1(国道339号バイパス沿い)
電話番号:0173-22-5656
営業時間:10:00〜18:00
※季節や天候によって変更となる場合もあります。
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