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唐揚げブーム、コロナ禍が追い風に? 市場規模1000億円、“金賞レース”も過熱

 国道沿いやフードコート、スーパーの軒先などで唐揚げ店をよく見かける昨今。それもそのはず、空前絶後の唐揚げブームが到来しているというのだ。一体何が唐揚げブームの再燃を牽引しているのか? その舞台裏に迫った。

外食控えが懸念されるなか、唐揚げ人気が急上昇!

唐揚げブーム コロナ禍により外食産業が苦戦を強いられている現在、唯一と言ってもよいほど躍進し続けているジャンルがある。それが唐揚げだ。  実際、唐揚げ専門店(唐揚げがメニューの7割を占める店)の市場規模は’19年に853億円だったところ’20年には1035億円(’20年6月、富士経済発表「外食産業国内市場調査」より)に拡大。これは同調査のほかの業態を遥かに凌ぐ数値だ。日本唐揚協会専務理事の八木宏一郎氏は現況を解説する。 「唐揚げが外食産業に登場した’63年頃からローソンで『からあげクン』が出る前の’80年代後半までの年月を業界では第1次唐揚げブームと呼んでいます。’74年に日清製粉が家庭用唐揚げ粉を発売してからは食卓のおかずとしても定着、その後コンビニレジ横フードの主力商品に成長し、おやつ感覚で食べられるようにもなった。現在は’09年から続く第2次ブームの中にありますが、それが今、最高潮に達しているのです」  第2次ブームは’09年、唐揚げ専門店発祥地である大分県宇佐市の名店「とりあん」と、唐揚げの聖地と呼ばれる同県中津市の超人気店「もり山」が東京に進出したことに端を発するという。 「それまで東京にはなかった専門店という業態がメディアに注目され、大手チェーンやスーパーも唐揚げに注力し始め今に至ります」

近年の「唐揚げブーム」の要因は?

 では、近年の盛り上がりは何が原因なのか?  専門店の普及による継続的な味の向上はもちろんだが、実は第2次ブームを下支えしてきたのが天災や不景気。それがコロナ禍で再来したことも大きい。 「’08年のリーマン・ショック以降、消費者の節約志向が高まったことで、安価で栄養豊富な鶏肉の需要が増え、口蹄疫問題による牛肉豚肉離れも需要増大に繫がった。さらに’11年の東日本大震災で、首都圏に鶏肉を流通させていた岩手県をはじめとする東北の大養鶏地帯が被災し出荷量が激減。代わりにブラジル産の鶏肉が大量に輸入されたが、船便で半年かけて輸入している間に国内養鶏が復旧したことで流通量がダブつき、値崩れが起きたのです」  そこにきて今年は、コロナ禍により同じように鶏肉需要の増加が起きているという。 「多くの人が巣籠もり生活を送るなかで、安価で節約にも繫がり、テイクアウトができてしかもおいしいという点にさらなる注目が集まっているのが要因と言えます」
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調理法の改善により唐揚げの味も進化
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