それだ。ボクは食い気味に「教えてください！」と江川さんに詰め寄る。 「そうですね。まず髪型や服装など、全体の雰囲気がSoftに寄っているかわいい系の女性は口説きにくいと言えます」 　なんと。かわいい系といえば男受けのよさそうなイメージがあるのに、これは意外だ。 「例えば、ショートカットやかわいい系のファッションというのは、要するに少女的な趣味なわけです。つまり、それはいまだ興味の中心が自分自身であるという子供の心を表します。つまり、そういった女性を男性が口説いたところで、その女性は興味を示しません」 　そうだったのか。では、逆に口説きやすい女性というのは……。 「つまり、その逆、印象がHardに寄っている女性となります。髪型は大人っぽさを感じるロングヘアー、下ろしでもいいですが巻いているよりHardの印象が強まります。胸元が開いていたり、セクシーさのある服装などもHardに寄ってると判断する要素の一つです」 　叶姉妹のような女性のことだろうか。しかし、これをお読みの読者のなかには「いや、セクシーな格好だったり、女らしい長髪はそりゃ男受けを狙ってるに決まってるだろ」と思った男性もいるかもしれない。 　ところがどっこい、男性として女性の世界も覗き見てきたボクにとっては、これは意外だった。 　例えば、ボディーラインの出るような挑発的なファッションを身に纏ったセクシーな女性と、大きめのパーカーにショートパンツのような子供っぽいファッションをしたかわいい雰囲気の女性。この2人を見たときに、おそらく男性はセクシーな女性のほうを男受けを意識した女性だと感じるだろう。かわいい雰囲気のほうの女性は、着ているものも子供っぽくカジュアルで、そういったことを考えていないように見える。 　ところが、女目線でいえばパーカーの女のコのほうが「男受けを狙ったファッション」と捉えられている。いわば、大きめの服で小柄さをアピールし、経験の少なそうな妹的雰囲気は、人によっては男性たちへの媚びとまで捉えられかねない。 　むしろ多くの女性は前述でいえばセクシーな女性のほうへ、同性として憧れる傾向を感じる。身体のラインを強調することに怯えないプロポーション、男性が近寄りがたい強めの雰囲気、それは女性たちの目からすると、美意識の表れのように映る。 　実際「セクシーな女性は男受けを気にしてるはずだ」と思っていた男性読者のなかにも、自分が本当に口説くならセクシーな女性よりかわいい系女性を選ぶのではないだろうか。世の女性たちはなんだかんだそういう男たちの趣味に気付いているため、実際のところはかわいい系女性のほうが男性の視線を気にしてると思うことが多いのだ。 　しかし、当人たちの深層心理のほうは女性の予想も男性の予想とも違っている。もし、これをお読みの男性で、今晩遊んでくれる女のコはいないかな？　なんて考えている方がいれば、街中で声をかけるのは是非セクシーな女性にしておくほうが無難だといえるだろう。 【大島薫】 作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』（マイウェイ出版）。大島薫オフィシャルブログ（http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/）。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru　写真集『大島薫に例のアレを着せてみた』が発売中1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru