新規免許取得者の半数がAT限定の日本で今「MT車ブーム」が起きている理由を考える
じゃ、メーカーごとのMT車販売比率はどうかというと、日本で一番MT車率が高いメーカーはスバルで約9.6%。マツダが約5.8%と続いている(’14年、SPA!調べ)。
しかし輸入車には、それをはるかに上回るブランドがある。
ケーターハムはMT率100%。なにしろMTしかないので当然だ。ロータスもMTが大部分だが、この2社は特殊なスポーツカーなので除外すると、トップはなんとルノーになる。
「MT車の販売比率は、時期によってかなりの変動がありますが、平均すると、おそらく2割程度です」(ルノージャポン広報)
あ、2割ぽっちなんだと若干落胆したが、それでも2割はスゴイ数字だ。なにせ日本全体では1%ちょいなので。ちなみにフェラーリもランボルギーニも、現在はATモデルしか作ってないでございまちゅ。
日本でのルノーは、年間7000台しか売れていないマイナーブランドだが、販売は伸びていて昨年は34%増を記録した。理由は、「日本でルノー車を買うのはマニアだけ」ということを痛いほど理解し、マニア向けのモデルを積極的に導入しているからである。マニア向けなので自然、MT車の比率が高くなる。そういう好循環(?)なのである。
そんなMT王国ルノーに、またしてもMT車が導入された。それがこのトゥインゴGTだ。
このトゥインゴ、900ccの3気筒ターボエンジンをリヤに積んで後輪を駆動するという、ポルシェ911同様のRRレイアウトを取るマニアックな小型車だが、AT(ツインクラッチ)モデルでもウルトラ走りが楽しくて燃費もよく、マニア的には「いつかぜってー買ってやる!」と決意せざるを得ないクルマである。そのパワーアップ版であるGTが、限定ではなく通常モデルとして導入されたのであります!
ATであんなに楽しかったんだから、MTのGTだったらどんだけ面白いんだろ。そんな期待値300%で試乗会に臨みましたが、乗ってみたら意外とおもしろくない。これならATのほうが楽しいや……。
近年はルノーもAT車メインで開発していて、そっちに合わせたクルマ作りをしているせいか、MTだと不思議なほどにエンジン特性がつまんなく感じてしまいました。
まだヨーロッパではMT車の販売が過半数を占めており、特に小型車は大部分がMTだけど、実はルノーは先を読み、AT化を積極的に進めているのでした。涙。
【結論】
日本ではMT車が人気のルノーが、本国では脱MT化を激しく進めているというのは皮肉。フランスのAT車の販売比率はまだ2割程度だそうですが、MTが今後、世界的にもマニア専用になっていくのは避けられないのでしょう1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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