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「ブラック労働を報道する自分たちが一番真っ黒」深刻なテレビ業界の人手不足

1月30日の厚労省発表によれば、’17年12月時点の有効求人倍率が、1.59倍に達したという。バブル期のピークにあたる’90年7月の数値(1.46倍)を9か月連続で超えており、この勢いがやむ気配はなく、深刻な求人難が現在のビジネス界を覆っているのだ。同僚が次々と抜けていき、さりとて新人が入ってこない環境下で、残された労働者たちの負担は増す一方だ。悲鳴をこらえつつ今日も現場に出る彼らの、生の声に迫る。

ブラック労働

ブラック企業叩きに奔走したメディアの足元から若手が続々逃亡


 激務と知りつつも、華やかな“ギョーカイ”のイメージに憧れた若者が列をなしたのはもう昔の話。今やテレビ業界の人手不足は、他業種以上に深刻だ。制作会社に勤める稲田仁さん(仮名・39歳)は、「ADがいない」と嘆く。

「昨春、ADたちが示し合わせて一斉に退職。残ったADはたったの1人だけ。その後は求人を出しても誰も来ない。純粋な若手ADが1人だけなので、プロデューサー7人がAD仕事までやるハメになっています」

 おかげで稲田さんの労働時間は平均して月350時間を超えてしまった。昨年末から元日にかけての5日間は、会社にこもりっきりだったという。

「リーマンショックで広告費が減ったことで製作費は削られました。仕事がキツくて給料は安いので、人手不足になるのは当たり前。テレビは運送や飲食業界のブラック労働をセンセーショナルに報じてきましたが、実は自分たちが一番真っ黒(苦笑)」

 そんな環境でも人が集まっていたのは、テレビ業界がダントツでクリエイティブだったからだ。民放キー局社員の原田慎次さん(仮名・43歳)は、人材の劣化に頭を悩ませる。

「頭数を優先して人をかき集めた結果、制作会社から来る若手は、当然ながらポンコツばかりです。大卒はほとんどいないし、パソコンの使い方もわからなくて、ローマ字入力で文字を打てないような人もいて、げんなりしますよ」

 さらに番組制作部門は、テレビ局内ではもはや花形部署ではなくなっており、若手社員からは敬遠されているという。

「テレビ局は広告費を取るため、スポンサー企業幹部の子女を採用します。彼らは短期間で希望の番組や部署を渡り歩くお客さんです。かといってコネなしの新入社員の多くはイベント部門志望なのです。そのため、番組制作に配属されると、テンションはダダ下がり。現場ではやる気ゼロです」(稲田さん)

 “ギョーカイ”の頭上は今、真っ暗な閉塞感が覆っているのだ。

― この春、マジで人が足りない ―





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