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中国は4億台の防犯カメラを稼働予定――「AIで防犯」の海外事情

 最近、にわかに注目を集めているのが「パブリックセーフティ」という言葉だ。AIやロボットなど最新テクノロジーで街の安全を守ろうという試みで、すでに海外では導入が進む。日本でも’20年の東京五輪を前に実証実験が始まっているが…… AIに[都市の安全]は守れるのか?

安全性が格段に向上!? 海外での導入事例

 昨今、世界ではAIやビッグデータなど最新テクノロジーを駆使して、犯罪・事故・テロを防止しつつ、街を災害や環境汚染などから守ろうという動きが広がっている。こうしたコンセプトは総称して「パブリックセーフティ」という言葉で定義され始めている。  パブリックセーフティは、防犯カメラ、IoT機器、センサーなどのハードウェアから収集されたビッグデータをAIが解析し、現場(人間)が対処するというものだ。データを集めるのに必要な回線やクラウドなど、高度な通信技術も欠かせない。  すでに海外では導入が進んでいる国が多いテクノロジーが、はたしてどう採用されているのだろうか? 国別に詳しく事例をみてみよう。 <アメリカ>犯罪多発都市のシカゴで大規模導入し成果も上々  数年前からシカゴ市の取り組みが話題だ。訪問者の保護を目的に市内のイベント発生状況をリアルタイムで把握するアプリ「WindyGrid」や、天候や経済状況、過去の犯罪データなど、さまざまな要因から犯罪を予測するシステム「Hunchlab」の導入によって、事件発生率を大幅にダウンさせている <イギリス>不審者をリスクに応じて分類するシステムが稼働中  昨年5月、ダラム警察が容疑者を拘束すべきかどうかの判断を支援するAIシステム「Hart」を導入。これは過去にダラム警察が収集した犯罪記録などのデータに基づいてつくられたシステムで、容疑者や不審者をリスク度に応じて分類。一方、ロンドンでもパブリックセーフティの導入が進む <中国>’20年までに4億台の防犯カメラが稼働予定  一例を挙げると、昨年8月の青島国際ビール祭りで警察が導入した顔認証システムで、逃亡犯やスリなど計50人近くを逮捕。中国では今後3年間で4億台の防犯カメラを設置する予定。中国企業のファーウェイはパブリックセーフティのシステムを世界中で売り込んでおり、官民一体で推進 <韓国>平昌オリンピックでは24時間リアルタイム監視 オリンピックではテロ対策が重要課題だが、今年の平昌大会でもパブリックセーフティが導入された。防犯カメラ、ヘリコプター映像伝送システムなどを活用した最新の管制システムにより、大会状況や交通状況をリアルタイムで把握。対テロセンターを中心に、24時間体制で監視した ― AIに[都市の安全]は守れるのか? ―
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