更新日:2022年12月17日 22:49
エンタメ

「性表現は絶対に妥協すべきではない」松坂桃李×三浦大輔 “衝撃の問題作”の舞台裏を語る

セックスは肉体による密なコミュニケーション

――その映画になった『娼年』ですが、セックスシーンへのアプローチの違いがポイントですよね。 三浦:舞台はもちろん擬似とはいえ、セックスという行為を観客に間近で目の当たりにさせることで、その熱量を生々しく体感してもらうのが狙いでした。一方、映画は“舞台のようなライブ感”は出せないので、セックスをしているときの男女の感情を明確にカットを積み重ねて丁寧に追っていこう、と。舞台は、観るほうの受け取り方が半ば自由なのですが、映画はこちら側が完全に誘導している。つまり、リョウと女性客たちとの“肉体を介在させた密なコミュニケーション”を示すのに、どういうカット割りが一番有効なのかを逐一、模索していったんです。 松坂:舞台は、お客さんの目線からするとその行為を、至近距離だけどもあくまで俯瞰の位置で眺めることになるじゃないですか。映画は交わっている二人にカメラがグンと寄ってきたり、離れたりしながら、違う切り取り方をしているのを感じました。二人の心と体のうねりにフォーカスを合わせているような。 ――いわゆる、AV的な映像スタイルとは一線を画していました。 三浦:AVにも感情のうねりを描いたものがあるのですが、一般的には男目線で作られているわけで。そうならないよう、すごく意識しました。 松坂:AVって妙に凝ったアングルがありますよね。男はそれに条件反射的に喜んでしまう(笑)。 三浦:そう。でもセックス描写って最初のインパクトはあるんだけれど、すぐに見飽きちゃうでしょ。 ※このインタビューは4/3発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです ●映画『娼年 石田衣良の同名小説を、舞台でもタッグを組んだ三浦大輔と松坂桃李が映画化。“男娼”となった大学生の心の成長を、過激な性描写満載で描いた衝撃作。4月6日よりTOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー。配給/ファントム・フィルム 【松坂桃李】 ’88年、神奈川県生まれ。俳優。’09年に俳優デビュー。今年はすでにNHK連続テレビ小説『わろてんか』、映画『不能犯』に出演。5月12日より『孤狼の血』の公開、6月29日からは主演舞台『マクガワン・トリロジー』の公演も控えている 【三浦大輔】 ’75年、北海道生まれ。劇作家、映画監督。’96年より演劇ユニット「ポツドール」を主宰。’06年、『愛の渦』で第50回岸田國士戯曲賞を受賞。’10年には『ボーイズ・オン・ザ・ラン』で監督デビュー。その他、監督作に『愛の渦』『何者』『裏切りの街』など 取材・文/轟 夕起夫 撮影/杉原洋平
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週刊SPA!4/10・17号(4/3発売)

表紙の人/ 小林よしのり

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