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銀座最年少ママを支えた「伝説の黒服」の話――桐島とうか<漆黒革の手帖>

  私が1番感嘆したのは、彼が「付け回し」(お客様にどの女性を付けるか決めること)を任されるようになってからの事でした。  お客様の席に合わせて、気の合う女性、または接待のお席が得意な女性等をアレンジするのはもちろん、女の子たちのドレスの色を見て、女性の配置を指示していることに気づいた時でした。お店全体の雰囲気だけでなく、1テーブルごとの色合いや雰囲気を彼はしっかり考えていて、アレンジしていたのです。   また彼は、女の子が席に着く前に「こんな接客をしてみたらどうでしょうか」と、1人1人に声をかけるのです。決して上から目線ではなく、提案として。もちろんホステスたちからもお客様からも支持を得て、お客様の中には彼だけを目的に来店してくださる方もたくさんおりました。また、自分の会社に欲しいと来るたびに熱心に彼に声をかけるお客様までいたのです。

「相手を勝たせる」という黒服の賢さ

 そして、彼のよさはさらにもう1つ。それほどお客様にも好かれていて、実力、説得力もあるのに、決して女性より前には出ず、お客様にも女の子にも決して勝たないところです。何か理不尽な事を言われたとしても、絶対に「自分が負けた」というふうにするのです。普通は折れるという言い方をしたほうがよいのでしょうが、彼の場合は、「負けて相手を勝たせ、気持ちよくさせる」といった言い回しのほうがしっくりくる。彼に支えられて、お店でうまく頑張れていたキャストは、そのときは本当に数多くいたのです。  しかし、彼もまたすでに銀座の街を去ってしまいました。優秀な人材は引き抜かれ、更に優秀な人材となり、別の世界に出て活躍しているのです。  銀座にはホステスだけではなく、賢くて魅力的な黒服もたくさんいます。もし、夕方以降に、銀座の街を歩く事があれば、綺麗な着物の女性だけでなく、早くから銀座の街を駆け回る黒服の姿を目で追ってみると、興味深い世界が見えるかもしれません。
桐島とうか

「あなたの未来を明るく照らしますように」と願いが込められた桐島とうかペンです(笑)

’92年生まれ。’15年に学習院大学経済学部卒業。学生時代に起業して失敗し、水商売の道に進む。銀座にあるクラブ「Monterey」でママを務め、お店に来ている顧客数は2500人、個人の月間売り上げは1000万を越える。習い事はフラメンコ、ゴルフ、料理。趣味は仮想通貨投資、競馬、着物など
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