更新日:2019年08月01日 22:54
ニュース

今回の自民党総裁選は「石破の善戦」というより「青木の勝利」だ――倉山満

青木氏は煮ても焼いても喰えない、練達の政治家である

 そもそも、青木幹雄とは何者か。  昭和9年島根県生まれ。学生時代は、早稲田大学雄弁会幹事長。大学を中退して竹下登の秘書となり、33歳で島根県議(5期)、52歳で参議院議員。あらゆる政局で「竹下の側近中の側近」として活躍する。初入閣は官房長官。竹下の死後は、小泉純一郎を担ぎ、「参議院のドン」となる。引退した今も、参議院竹下派に多大な影響力がある。  要するに、40年以上も親中派の竹下に面従腹背しつつ、5年の小泉親米内閣で権勢を握ったのだ。  一般の評価は「政策に興味がない利権政治家」だが、極めて疑わしい。小泉内閣は、それまでの親中政策をすべてひっくり返した。当時のブッシュ大統領との蜜月は、今の安倍・トランプとは比較にならない。5人だけとはいえ、北朝鮮拉致被害者を奪還した。これにより一夜にして日本の世論は「北朝鮮許すまじ」と変わった。そうした小泉内閣を支えたのが、青木氏である。  青木氏は滅多に本心を明かさない。煮ても焼いても喰えない、練達の政治家である。しかし、少なくとも麻生太郎や二階俊博を信じるよりは希望がある。  今後、日本政治を語る上で、「青木幹雄」の名前を出す者は本物、出さない者は偽物と決めつけてよい。  果たして青木氏は、日本の救世主か。それとも大悪魔か。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

噓だらけの日本古代史噓だらけの日本古代史

ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作は、日本の神話から平安時代までの嘘を暴く!

1
2

嘘だらけの日独近現代史

世界大戦に二度も負けたのに、なぜドイツは立ち直れたのか?

おすすめ記事